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「ちっす。あー……会うのは、何日振りなんやろな」
「そうだね。何かそんな、久し振りって感じはしないよね……えと、暑い中ごめんね」
見慣れた学生服ではない、私服を身に纏った彼女が眉尻を下げて笑う。それにゾムは慌てて首を横に振った。寧ろ駅から一歩出れば炎天下なこの場所で待たせてしまったことに申し訳ないと言うか、これから自分が彼女の世話になるのだから。
Aも流石にこんな暑い中で立ち話をする訳にはいかないと思ったのか、それじゃあ行こうか、と早速道案内を始めた。ゾムはすぐに彼女の隣につき、彼女の歩幅に合わせながらついていった。
会話の途中、ちらちらと彼女に視線を送る。初めて見る私服姿が新鮮でついつい見てしまう。夏だから薄着でラフな感じはお洒落とは言い難いけれど、彼女の清楚さは全く失われていなかった。
気取らないいつもの彼女がそこにいる。それが何となくいいな、とゾムは心の中で密かに思った。
駅から出ると降り注ぐ日光。しかも昼時なので肌に一層突き刺さる。それと合わせて温い風に肌を撫でられる感触にゾムは無意識に「あっちぃ」と声に出していた。
「ホント。て言うか暑すぎだよね」
「それな。何や去年より暑くなってるって言うし、ホンマ嫌んなるわ」
その時不意にAが隣の彼を見上げる。途切れた会話とその気配に気付いたのか、ゾムもまた彼女の方へと振り向いた。
「暑いって言う癖にフードは被るんだね」
「いや、まあ、これは、その……俺の、アイデンティティーやから。それとあれや、日射病予防的みたいな」
それ本当に予防出来てる？ 最後に付け加えた理由の雑さに彼女が思わず笑いながらそう言った。本当に予防出来てるのかなんて知らんわ、適当に言っただけやし。内心そう思いながらゾムも笑って誤魔化した。
賑わいがあった駅周辺とは一変して、静けさのある住宅街。蝉の鳴き声が聞こえるばかりで人の声は全くない。留守にしているのか、はたまた冷気を外に漏らさない為か。建ち並ぶ家々の殆どの窓が閉め切っていた。
初めて見る景色、けれど何処にでもあるそれを見ながら歩いていくと彼女がふと足を止めた。「ここだよ」そう言った彼女の正面に目を向ければ、これもまた何処にでもあるような一軒家が建っていた。
家の敷地内に入っていく彼女の後ろを、ゾムは忘れていた緊張を呼び覚ましながらついていった。
「どうぞ」
「お、お邪魔しますー……」
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抹茶ちよこ(プロフ) - 瑞稀さん» コメントありがとうございます！面白いと言って頂けてとても嬉しいです！これからもどうぞ温かい目で見てやって下さい。ありがとうございます！ (2022年4月17日 12時) (
レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - うわぁ〜〜！！本当に面白いです！！まさかのライバル？！誰なんだ…続きも楽しみにしてます！ (2022年4月15日 0時) (レス) @page39 id: 503fd2a4ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2022年3月14日 15時
