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32:友達ですから ページ32

晴れ渡る大空、その向こうに聳える入道雲、ジリジリと照り付ける太陽。
 学生全員が待望していた夏が、やってきた。
 
 梅雨を越えた後の湿気が増した空気に誰もが嫌気を差し、外出するのも億劫になりながら登下校して、暑さに耐えること早数週間。世間は夏休みムードに突入した。
 膨大な宿題を与えられるも学生達の自由時間が大幅に増える期間。その間に学生時代でしか味わえない青春を満喫しようと部活を励む者、仲の良い友達と何処かに遊びに行く者、または恋人と甘酸っぱい時間を過ごす者もいるだろう。
 しかし受験生にとってはこの期間が勝負所で、将来の夢を賭けて勉学に打ち込む努力家も少なからずいることだろう。
 
 日中、肌を焦がす太陽の熱にも負けず、外で駆け回る子供達の姿があちらこちらで目に付く。それとお出掛けをする家族の姿も街中でいつもより多く見える。その光景を見るといよいよ夏休みなんだな、と実感する。
 だが蒸し暑い外界なんて誰が好き好んで出歩くものか。そう思う人間も中にはいることだろう。はたまた外に用事が無い者は空調で丁度良い気温に保たれた室内で悠々自適に過ごしている者が多いだろう。

 此処にもその例に漏れず、寧ろ好んで屋内に引き籠る人間がいた。

 
「あー、惜しかったなあ!」
「うわ、悔しい……純粋にエイムで負けた」
「せやな。俺も全然当たらんかったわ。相手強っ」
 
 パソコンの前に座り、ヘッドセットを付けて画面の向こうの相手と通話している。ゾムとAは今日も今日とてヴァーテクスの腕を磨いていた。夏休み前から変わらない、この頃になればもう既に習慣となってしまったものだ。夏休みに入ってからは更に二人はこのゲームに熱を入れ始めて、一日のプレイ時間が随分伸びてしまっていた。
 
 先程の試合でチャンピオン手前まで上り詰めたのだが、生憎相手の方が上手(うわて)だった為残念ながら負けてしまった。良い所まで来たのに。己の詰めの甘さと実力の足りなさに二人は共に大きな溜め息を吐いた。
 
「んー……とりあえず一回だけでもチャンピオン取りたい。なあA、まだ時間ある?」
「うん、大丈夫だよ」
「じゃあちょっと休憩してからやろか」

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作品ジャンル:恋愛
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抹茶ちよこ(プロフ) - 瑞稀さん» コメントありがとうございます!面白いと言って頂けてとても嬉しいです!これからもどうぞ温かい目で見てやって下さい。ありがとうございます! (2022年4月17日 12時) (レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - うわぁ〜〜!!本当に面白いです!!まさかのライバル?!誰なんだ…続きも楽しみにしてます! (2022年4月15日 0時) (レス) @page39 id: 503fd2a4ac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:抹茶ちよこ | 作成日時:2022年3月14日 15時

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