28:それは進展の一歩? ページ28
「で、ゾム君とはどこまでいってんの?」
「……え?」
また別の日の昼休み。昼食を終え、Aの前の席を借りた彼女の友人——ハルナといつも通り他愛のない話をしていた時だった。ふと思い立ったのか、はたまた以前から気になっていたのか。突然彼女がそう切り出してきたのだ。
どこまで、とは。その質問をいまいち理解出来なかったAは一拍置いてから首を傾げた。
「隣同士になってからめっちゃ話してるの見るし、しかもあれでしょ? 学校外でも遊んでるんでしょ?」
「ま、まあ……」
「だからもしかしたら、そういう関係になるんじゃないかなあってちょっと期待してるんだけどさ」
「……はあ⁉︎」
友人のその言葉でようやく話が見えたAは微かに頬を染めて思わず声を上げた。相変わらず予想通りの反応を見せてくれる彼女につい面白くなってハルナはプッと吹き出した。
「い、いや、別に、そんな、仲良くなったからって、そうなるわけじゃ……っ」
「まあ奥手のあんたがすぐそうなるとは思ってないけど、可能性はあるじゃん?」
「いやいやいやいや! てかそもそも私、別に鳥井君のこと、そんな風に見てないって言うか」
確かに彼を知らなかった頃は見た目と噂だけで苦手だとか怖いとかは思っていた。しかし今はすっかり打ち解けて、未だ少しだけ緊張はあるが普通に話すことだって出来るようになった。
相変わらず話す内容はゲームが多いが、目の前の彼女と同じ他愛のないものもする。少し癖が強いけれど面白い友人達の話をする彼の笑顔が素敵だとか、たまに大笑いしすぎてむせてしまう所が面白いだとか。この短い間で彼の良い所を幾つも見つけた。
けれど彼に抱いているこの感情がそれ以上、友達のラインを越えているかと言ったら、違う。いずれそうなるかと問われても、分からないとしか返せない。絶対に無いとは言い切れないが、絶対あるとも言えない。
好感度は未だ上昇中だが、乙女ゲームのキャラクターのようにそれが一定以上になれば自分も彼に恋をするのだろうか。今はあまり想像がつかない。
けれど現実はゲームのようにそう簡単ではないのだ。
「ええ? もしかしたら、ゾム君の方はその気あるかもしれないよ?」
「いや、流石にそれはないって」
Aは思い切り頭を横に振った。
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抹茶ちよこ(プロフ) - 瑞稀さん» コメントありがとうございます!面白いと言って頂けてとても嬉しいです!これからもどうぞ温かい目で見てやって下さい。ありがとうございます! (2022年4月17日 12時) (レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - うわぁ〜〜!!本当に面白いです!!まさかのライバル?!誰なんだ…続きも楽しみにしてます! (2022年4月15日 0時) (レス) @page39 id: 503fd2a4ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:抹茶ちよこ | 作成日時:2022年3月14日 15時