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直に隣に居るから指示もしやすく、すぐに報告も出来る。最初は少し辿々しかった会話も時間が経てば慣れてスムーズになり、余裕が出来れば互いの行動パターンも勝負を仕掛けるタイミングも頭に叩き込んでいく。流石普段からゲームをする者同士、それらを把握するのにそう時間は掛からなかった。
プレイヤースキルが同等なのか、それとも似た者同士だからなのか。二人の表情には常に一緒にプレイをしていることが楽しいと言わんばかりの笑顔が浮かんでいた。それは勝っても負けても崩れることはなかった。
どうやら先のチームプレイ中に思ったことは同じなようで。相手にとって自分の実力はどれくらい通じるのか、果たして勝てるのか。そんな闘争心が二人の中に芽生えたのだ。
そしてそれにうってつけなのは、やはり格闘ゲーム。再び隣同士に座った二人だが、今度は敵として画面の向こうで拳を交わした。
使い慣れたキャラクターで何度も勝負をする。勿論キャラクターの使う技で相手との相性もあるが、とりあえずは自分のお気に入りで勝ちたいと言う一心で使い続ける。その後に少し気分でキャラクター変更をしてみたり。
これもまた良い塩梅なのか、軍配は互いに同じくらいの数が上がった。
そして結果、ゾムの方が少しリードする形で勝負の幕は下りた。WINの文字が浮かぶ画面を前に、ゾムはガッツポーズを決めて、ふーん、と得意げに笑って鼻を伸ばしていた。
一方地面に倒れる自分のキャラクターをAは酷く悔しそうな目で見つめていた。あとちょっと、いつも惜しい所で勝てない。これはまだまだ練習が必要だと思った彼女の胸には打倒ゾムの意志が燃えていた。
「んあーっ! マジで楽しかったぜ!」
「あはは、私も楽しかったよ。て言うか、鳥井君ホントゲーム上手いね! もう最後なんて、私完全にパターン読まれてたし……」
「いやいやいやいや……Aさんもめっちゃ強かったで? 色んなキャラ使えるし、その時に応じてパターン変えてくるから、こっちはもうずーっとヒヤヒヤしてたんやからな」
ゲームセンターから出れば、外はもう真っ暗。デカデカとした店の看板をライトアップする光や幾つものネオンが煌々と闇を照らしている。駅前には屯する学生達や、何処かで一杯飲もうと商店街の方へ足を向ける会社員達の姿が目立った。
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抹茶ちよこ(プロフ) - 瑞稀さん» コメントありがとうございます!面白いと言って頂けてとても嬉しいです!これからもどうぞ温かい目で見てやって下さい。ありがとうございます! (2022年4月17日 12時) (レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - うわぁ〜〜!!本当に面白いです!!まさかのライバル?!誰なんだ…続きも楽しみにしてます! (2022年4月15日 0時) (レス) @page39 id: 503fd2a4ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:抹茶ちよこ | 作成日時:2022年3月14日 15時