Promised Days (N.Oriyama) (ページ8)

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「エーっと、ヴァサイェガ渉、3年、副部長...をやってます、えっと、よろしく」

『よろしくお願いします』

そんなこんなで、自己紹介編は終わりに近づいて参りました。さすがにわたしも、最初みたいにいちいち緊張はしなかった。それに良かったことは、個性が強くて、あとお顔も強くて、意外にもすぐに名前を覚えられそうってことだった。

渉先輩、かっこいい名字だな。たしかに、鼻が高くて、彫りが深いからハーフって感じ(どんな感じ)がする。そして緊張してるとか、ギャップの塊か。

こんな事を考えられるぐらいにはわたしは余裕が生まれていた。やっぱりわたし、適応能力高すぎだと思う。

「ヴァサ、なに緊張してんの、檜山光成、同じく3年生だよ。よろしくね」

ふわりと笑って渉先輩の肩に腕を回したのは、光成先輩という人だった。ひと目見て、王道っていう言葉が似合う人だなって思った。勝手な妄想だけど、ファンクラブとかありそう。

『こちらこそ、よろしくお願いします』

残るはあと一人だった。なぜかすみっこで、ずっとわたしをみてる人。

「ほら、おり。何がそんな気に入らないの。いい子じゃん、ね」

謎に説得してくれてる、タメの拓実くん。拓実くんに聞いたら、織山くんとは幼馴染なんだって。一番の理解者ってわけだ。つまり、そんな拓実くんに言われたら、織山くんだってちょっとは仲良くしてくれるんじゃないかって、ほんの少し期待したわけだけど。

「...」

織山くんは依然としてこっちを睨んだまま。おいおい、どうすんだ、これ。皇輝先輩、て我関せずだし。自己紹介終わったらみんな自由だし。この子いつもこうなの？だとしたらちょっとやばくない？

期待したわたしのほうが馬鹿だったってか？もう、わたしの中の二体目のジョイマン発動しちゃうよ？俺のジョイマンが火を吹くよ状態だよ？

「...はあ、なあちゃんごめんね、無理みたい」

拓実くんがすごい申し訳無さそうに言ってくれる。拓実くん、君は何も悪くないよ。

たしかに興味ないって言ったのはものすごく失礼だった。自分でも、好きなものにそう言われたら根に持つのはすごくわかる。けどね、けどだよ、仮にも謝った、そしてみんな許してくれてるんだから、せめて態度に出すのはやめようか、織山くん？

「おり、練習始めるからこっちおいで」

しびれを切らしたかのような皇輝先輩の声にわたしは助かった、とかすかに思った。

...皇輝先輩には素直なんだ。