Promised Days (N.Oriyama) (ページ4)

今日:14 hit、昨日:1 hit、合計:13,820 hit

2 ページ4

そんなこんなで深田(脳内までこいつに君付けするのはやめた)に連れられてきたのは、なにやら音楽が漏れている教室。

「おはようございまーす」

深田が間伸びした声でドアを開ける。

「はよざいます」

深田よりも一回りちいさい、ほそい子が挨拶した。めっちゃめちゃ小顔。あとめっちゃかっこいい。

「おー、海流！」

そう言うと深田は、肩を組んでわしゃわしゃ撫で始めた。

おいおい、深田。海流くん、けっこう顔険しいけど。右手、深田を押し返してるけど。大丈夫か？

「あ、海流！こいつ、見学の、えっと、なあ！」

『深田、くん！名前...』

「いいじゃんいいじゃん、同クラだし、まあたぶん同じ部活になるし？」

強引だなあ、もはや笑えるよ。

「あ、笑った！」

深田は、ふわりと笑った。

それは、今までのイメージと違って、なんというか、花みたいな。ふわふわしていた。

「あと、俺のことも竜生、でいいよ」

急に深田の顔が近づいてきた。いつのまにか、海流くんはほかの少しちいさな子たちと遊んでいる。

『ふ、深田くん？』

深田は、意外と顔が綺麗だった。鼻も高いし。今までぜんぜん気づかなかった。

「りゅうせい、」

『竜生...』

「ん、よろしく」

そう言うと、深田改め竜生は、すっとわたしから離れていった。

「集合ー！」

と思ったら、しぬほどうるさい。

その大声に集められた男子たちは(男子しかいない！)、なんだなんだと隣のわたしと竜生を見比べる。

「なに、彼女？」

ずいと出てきたのは、赤い唇がやけに目立つ男の子だった。

「違うって、見学！」

『や、わたしは、』

「ふーん」

否定するとすぐに興味を無くしたのか、わたしから目を逸らすと、その子はぽちぽちとスマホをいじり始めた。

...一応学校なんだけど。あと部活にわざわざ彼女連れてくるやついないだろ。

わたしは、囲まれて緊張していたけど、隣の竜生はそんなのぜんぜんないみたいだった。

まあ、そんな感情そもそもなさそうだ。

でも、ここで意思表示をしておかなければ、もう後に戻れない。

『あの、あの、ですね、わたし、ぜんぜん入るつもりはなくて...』

あ、いや、言い方間違えた、かも。途端、何人かの目線が鋭くなる。

『竜生に連れてこられたって言うか...』

「じゃあ何？冷やかし？」

どくん。

後ろの方から、冷たい声が聞こえた。その声はまるで刃の様だった。