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「俺、ほんとに最初冷やかしで来てんだと思って」
うん、ほんとにそうだったよ。とか今の織山くんの顔を見たら絶対に言えない。
「なんだよこいつって思ってたんだけど、でも、あんな顔でずっと見られたらさ、」
あんな顔、ってどんな顔だったんだろう。わたしは黙ったまま織山くんを見つめた。皆しーんとして、わたしたちを見ているのがわかる。
「...そんなの、思えるわけないって、あんなきらきらした目で見られて、嫌えるわけない」
織山くんは顔を真っ赤にしながら言った。その瞬間、
「おり、仲直りかあ！」
「なあちゃん、熱烈な視線浴びせてたもんねー」
「お熱いとこ見せんなよ！」
皆が織山くんに駆け寄る。皇輝先輩はわたしににこって笑いかけて、「おりが女の子にこんなこと言うの、珍しいんだよ」って言った。それから織山くんの頭をくしゃって撫でた。
「お前ら、なんだよ、全部ちげえし！」
織山くんって、みんなに好かれてるんだなあ。最初抱いた感想は最悪だったけど、今はわかる。ツンツンしてるけど、仲間には優しい。今日の少しだけ、踊っているのを見るだけで感じ取れた。
『織山くん、』
声をかけると、目が合った。織山くんの視線がわたしを射抜く。
「お、おりでいい」
え、
「クラス一緒だし、嫌、だったらいいけど」
織山くんはもごもごと言った。なに、もしかして仲良くなったらこんなにかわいいの、知らなかった。クラスの人は知らないのかな。ていうか、嫌なわけない。
『じゃあおり、よろしくね』
笑いかけるとおりはツンと澄ました顔で返してくれた。最初その顔に戸惑ったけど、違うんだ。余裕がないから、隠してるんだ。
「お、おう、よろしく」
こうして坂口なあ、高校2年生、転校初日にしてせのたかい陽キャ、超絶美少女、そしてツンデレ優男と、たくさんの友達ができたみたいです、！
楽しい高校生活の予感、笑
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作者名：ミル | 作成日時：2022年8月5日 17時
