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「大丈夫か?!」
返事はないが、地に伏す部下をよく見てみると確かに呼吸で上下に動いており、ひとまず安心する。
しかし……あの速さ、人間離れにも程がある
「………グルッペン総統…要求をもう一度聞かせてくれ」
「貴殿が私のものになる。
それだけだ、至ってシンプルだろう?
それに……悪くはしないゾ。」
そう彼が言った時、横の緑の人が苦笑いしていたのは気のせいだろうか。
しかし、ここまでこのふたりが来たということはそれまでの道に配置していた兵士達も同様に眠らされているはず。
そして、この国を守るための手段は目の前に提示されたひとつのみ。
ならば……
「わかった、要求を飲もう。ただし今ここで宣戦布告を取り消せ。そして今後一切この国には手を出すな。」
「いいだろう!この状況でもなお強気に出るのは嫌いじゃないゾ。
……トン氏」
すると彼は耳につけていたインカムのスイッチを押した。
「目的のものは手に入った。直ちに宣戦布告を取り消せ。」
『ふぁ?!嘘やろっ、アンタほんまに……?』
「本当だ。彼女は……Aは俺のものとなる。」
私は彼のものに…………
こんなもの予想外すぎる。
どうやら話し相手の方も予想していなかったのか素っ頓狂な声を上げているようだった。
『あー、じゃあ今取り消しの文書送ったからこれで成立や…………はぁ、たまげたなぁ。』
「ありがとうトン氏よ。」
礼を述べるとインカムを切った。
「さて、では行こうか…A。」
こちらに指し伸ばされた手を掴もうとして、あと少しという距離で止まる。
「その前に一つ。お聞きしても?」
「なんだ?」
「……何故、私なんです?」
単純な質問
でも私には一番の疑問点だった。
しかしそれを何でもないかのように彼は答えた
「君の全てが欲しくなった。
それから
私は欲しいものは必ず手に入れ、逃すことは無いぞ。」
そう言うなり、数センチの距離がゼロになった手を引くと私の唇を食い尽くした。
ーー嗚呼……もう駄目……。
熱に溶かされ途絶えてしまいそうな意識の中
ただ本能だけがそう言っていた。
最後に見えたのは魅せて離れぬ彼の深紅。
「ハイル・グルッペン………」
もう、逃れられない。
――――――――――
短編集第1弾これにて終了( ´ω` )/
長かった!でもとても楽しかったです♪
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角砂糖(兼:ただの炊飯器)(プロフ) - ランさん» 書けました!宜しければ読んだってくださいm(*_ _)mリクエスト本当に嬉しかったです♪ありがとうございました (2018年3月14日 16時) (レス) id: b04e9ddf40 (このIDを非表示/違反報告)
角砂糖(兼:ただの炊飯器)(プロフ) - ランさん» ありがとうございます!!もちろんです(*^^*)ぜひぜひ書かせていただきます (2018年3月14日 15時) (レス) id: b04e9ddf40 (このIDを非表示/違反報告)
ラン(プロフ) - リクエストよろしいでしょうか?鬱先生のハッピーエンドのお話をお願いしたいです! (2018年3月14日 15時) (レス) id: e5666d0338 (このIDを非表示/違反報告)
角砂糖(兼:ただの炊飯器)(プロフ) - 十弧さん» 良かったぁ!!!リクエスト本当に嬉しかったです_( _´ω`)_♪ぜひぜひこれからも来たって下さいね、いっぱい書きたいです!ありがとうございました (2018年3月14日 0時) (レス) id: b04e9ddf40 (このIDを非表示/違反報告)
十弧(プロフ) - 角砂糖(兼:ただの炊飯器)さん» リクエストしにお邪魔させて頂くかも知れません…。これからも作者様のお書きになるお話を楽しみにしています。これからもご無理なさらず頑張って下さい! (2018年3月14日 0時) (レス) id: f05eea04c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:角砂糖 | 作成日時:2017年12月2日 19時