□爆豪勝己の様子 ページ7
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ここで、爆豪勝己の様子を見てみよう。
整頓された、物の少ない清潔な部屋。
本棚には意外と真面目なものが多い。
日にちは水族館へ訪れた日の夜。
夕食も、風呂も済み、寝るだけであった。
ベットに座り込み、倒れる。
「チッ」
爆豪が舌打ちをする。
これはAと偽交際が始まってから毎日のことである。
___好きってなんだ。
それが、ここ最近の彼の悩みだっだ。
意外と純情である。
以前どことなくAをそういう対象かもしれないと思ったが、振り出しに逆戻りしていた。
like、aimer、gusta………
(全部日本語に訳すと"好き")
__俺がアイツを好き？ンなわけ。
好きってなんだ
なんで、なんで、こんな心臓うるさくしとんだ。
正解は？
あの時、あの時は何かにイラついて、アイツが追いかけてくるから、
情けねぇ面でも見てやろうと思って、
近づいて、
そう、思っただけなのに、
Aが赤面した記憶。
かわいいとか…ありえねぇ。
爆豪の脳裏にAが一種の締め技だと勘違いしたバックハグの光景がチラつく。
その時、確かに爆豪は、
おい、ゴミ
鈍感ヤロー
気づけアホ
と思った。
そこに嘘はなかった。
認めたくないと思えば本当である。
でも、認めれば早い話だと思った。
音を立てて崩れて行くような気がした。
『マイペースで人の都合考えないし、腹黒でデリカシーもなくて、クズ発言ばっかだし、でも、本当はしっかり優しくて、真面目にヒーローしようとしてます』
口に出して言ってもらったのはAが初めてだった。
口先だけの人間ならいくらでもいる。
でもAはファンクラブの者たちに立ち向かった。
『人が素直に頑張ってる姿を馬鹿にするのは許せないので』
そんなところに惹かれたのか。
自分でも分からない。
誰でもいいわけないってのは本心だ。
好き、……か。
「マジかよ……」
爆豪が同じ言葉を呟いた。
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作者名：おにぎり。
| 作成日時：2021年10月23日 11時
