爆豪勝己の偽彼女？【爆豪勝己】 (ページ6)

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「あっ、うまっ！」

「おいしーい！」

試作品のオムライスを頬張る女子たちが華やぐ一方、

「うめぇ」

「マジうまっ」

男子たちも低い声で華やいでいた。

「これならお店の味レベル！」

「出せる出せる！」

放課後の調理室でメニューとして出す料理の試食会が行われていた。

ランチラッシュ先生の指導のもと作ったものである。

当日、キッチンを担当する生徒たちは安堵の息を漏らしていた。

ちなみにAはホールである。

『ねぇ、百合』

「ん〜？」

百合もホールで、お皿を静かに置く練習をしている。

Aは水を素早くコップに注ぐ練習を。

『ちょっと聞きたいことあるんだけど…』

「何〜？」

お互い作業をしたまま背中合わせで話す。

『あのさ、』

「帰る時でいい？集中したいしさ」

タイミングよく遮った。
それが故意なのかどうかは分からない。

『そだね』

Aは笑顔を浮かべて作業に戻った。

「………」

一方は深刻そうであった。

一旦、教室へ荷物を取りに行っている最中、百合から話が切り出される。

「聞きたいことって？」

『あ、えと…百合から見たら、私といる時の爆豪くんってもう見える？』

「えっ」

『え？』

百合が一度、ポカンとした表情を浮かべた。

理由は分からないが、思っていたことと違うことを言われたからだろうか。

ほんのり、ガムテープの匂いと段ボールの匂いがする。

文化祭モード一色で、看板をぶら下げるものや、飾り付けをする生徒がチラホラ見える。

渡り廊下では椅子を運ぶ生徒も見られた。

「…愛おしそうに見てるよ、爆豪くん。Aのこと」

___マジか。

「なんか立ち入れない壁みたいなのあるよね、どうでもいい時でもAの顔とか見つめてさ」

『……そう、なの…？てかよく見てるね』

「…………そりゃ、心配だからね」

一拍置いて、百合は話す。

「愛されてるんだなぁって思うよ」

『……そっ、…そっかぁ？』

聞いてるこちらが恥ずかしくなってきた。

____そうなのか。

__偽なのに？

また、この考えが頭をよぎる。

「敵わないなぁって思う」

______何に、

と聞きたくなった。

明らかに不自然だった。

でも、

『変なこと聞いてごめんね』

小さな引っ掛かりとして、タグ付けして放置した。

うまく、笑えただろうか。

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