〚ヴィランズ手下〛マスターヴィランに捨てられた黒猫 (ページ20)

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にゃおんページ20

パチンと何かが弾けた様な音がしたかと思えば周りの光景は自分の部屋。
瞬間、自分は誰かの魔力によって自分の部屋へと転送されたと云う事が分かった。
…大体、誰がやったかと言う事は粗方予想は付く。
だが、確定したわけ出はないが為に自分は敢えて名前を伏せた。

『…部屋に戻ったのは良いものの、暇だな……』
ポツリと呟いても誰かが其の言葉を拾うはずもなく、呟いた言葉は静寂に飲まれる。
明後日…否、明日からは自分もリクルーティングに参加する事になっている。
今年でリクルーティング活動は2年目だが、自分は1年目数日程度しか表に立たせて貰えなかった。
2年目、つまり今年は始まって1週間も経たないうちに捨てられた為、自分はシックスポーズダンスや口上をちゃんとしたことが無い。
…口上は何とかなるとして、流石にダンスはぶっつけ本番でどうにかなると言う事には流石にならない。
自分はそう思いながらベッドに横になり、明日のために今日はもう寝て…起きた後にダンスの練習をしよう、と心に決めた。

『…リクルーティング、か……。』
其の言葉を呟き、1人で悶々と考えていたら自分は何時の間にか夢の中へと落ちていった。

◊

眼の前に広がる光景は、劣悪な環境。
そして、リクルーティングを一緒に行う同期の冷ややかな目線。
此処が何処か察するに数分も経たなかっただろう。
自分が今居る場所はホーンテッドマンション。
此処に居る時の自分は何時も猫の姿で、劣悪な環境の部屋の隅で丸まっていた。
Mr.Jは、そんな自分を見ては何も言わず、只々自分を邪魔者のようにして見て来たりしたものだ。
そして、リクルーティングが終わった後に告げられた言葉は、

＿＿ルーファ、お前はルシファー様やトレメイン夫人から今年は此方に帰ってくるなと伝えてくれと言伝が合った。

そう思えば自分はきっと、この日からマスターから捨てられていたのではないか、そう思った時にはもう遅く、今年のリクルーティングに入って3日目辺りでMr.Jに告げられた言葉は、

＿＿ルーファ、お前はもう手下なんかじゃない、ただの猫だ。

言葉の意味を理解するには容易だった。
そう、自分はマスターから捨てられたのだ。
最初は勿論信じられなかったが、Mr.Jに追い出され、自分は本当に捨てられたのだ、と痛感した。
雨の中、段ボールの中でマスターから貰った唯一の黒猫の縫い包みと一緒にいれば、Ms.スキャターに拾われた。
此の出会いは、一種の運命だったのかも知れ無い。