16人と時々1人 (８)

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樹side


ホテルに戻り、各部屋で自由時間を過ごしてたんだけど、マネージャーさんに確認したいことがあって部屋を出た

流れで、何となく気になる健太さんの部屋に向かうと、ちょうど出てくるところだったらしいトレーナーさん

入れ違いで入れてもらうと、1人がけのソファみたいなのに座って、ぼーっとしてる


樹「お疲れ様です」

健「お疲れ〜」

樹「足、大丈夫ですか？」

健「大丈夫じゃな〜い」

樹「捻挫ですか？」

健「うん、しばらく踊れないって」

樹「痛みます？」

健「まぁね」


心配と悔しさと嫌な記憶と、色んな感情が入り交じって、何も言えなくなった時


健「樹、これあげる」

樹「え、あぁ、ありがとうございます」

健「次のライブっていつだっけ？」

樹「また１ヶ月後くらいじゃなかったですか？」

健「間に合うか微妙だってさ。しかも、全く動かさないで。治ったとしても、リハもできてないし体力も落ちてる状態で出来ると思う？無理だよね〜」


全く目を合わさずに、淡々と言葉を並べる健太さん

LIVE後特有の虚無感もあってか、珍しく出てくるのはマイナスな言葉ばかり

…怪我で出れない悔しさは、俺にだって分かる。でも、


樹「微妙ってことは、間に合う可能性もあるってことですよね。それに、治っちゃいさえすれば健太さんなら大丈夫ですよ。立ち位置ならたっくんが教えてくれるし、体力が持たなさそうだったら途中で抜けばいいんですよ」

健「んー、」

樹「それに、もし治らなかったとしても、健太さんは絶対LIVE出ると思います。周りが反対したとしても、ファンのためにって無理しちゃうんじゃないですか」

健「…」

樹「大丈夫ですよ、間に合います。俺たちも協力しますし。」

健「…なんか、かっこいーね」

樹「何すかそれ笑……次のライブ、楽しみですね」

健「…さっき終わったばっかだし笑」

樹「ははっ笑 ご飯食べました？」

健「んーん、まだ」

樹「じゃあ食べましょ。お湯沸かせば良いですよね？」

健「うん、樹食べた？」

樹「俺食べました」

健「何だ、じゃあ戻りなよ」

樹「あのお菓子、今日は食べないんですか？」

健「食べたいの？笑 開けていいよ」

樹「やった」

健「猫かよ笑 俺の分残しといてよ！？」

樹「それはもちろん」


メンタル的にも結構やられてそうだったけど、ちょっとは回復してくれたかな

心だけでも元気でいて、治す気力を持っとかないとだからね




おわり
リクエストありがとうございました

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