キミが残してくれたモノ (ページ49)

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「一緒にご飯食べよーよ。パパ特製の美味しいナポリタン作ったのになー。」

背中を摩ってくれるパパにこれ以上泣いてることがバレたくなくて、声を出さずに首を振った。

「んー……食べたくないかぁ。じゃあ、食べたくなったらおいでね？」

パパは私の頭を撫でてから立ち上がって、部屋を出て行った。

「うぅ、パパ……ごめんなさい……」

お仕事で疲れて帰宅して一生懸命私の好きなナポリタンを作ってくれたのに、パパを傷つけてしまった。

パパはママに裏切られて可哀想なのに、どうしても顔を合わすことが出来なかった。

ママが亡くなってからの私は今までのパパのように、パパも何処かへ去って行ってしまう気がして怖かった。

ひとりになるのが、怖かったから。

だけど、パパもずっと孤独だったのかもしれない。

ママに愛されず、それでも毎日私とママの為に働いて、ずっと寂しい思いをしていたのかもしれないと初めて感じた。

この日を境に、私の心境は変わっていった。

パパを失うのが怖くて縋るばかりだったけれど、これ以上パパのお荷物にはなりたくない。

早く大きくなって、パパの力になりたいと思うようになった。

そして5年生になってからは、パパに楽をさせてあげたい、その一心だった。

パパに負担をかけたくなくてひとりでお風呂に入ることにしたし、朝も目覚まし時計を掛けて自分で起きるように頑張った。

休みの日にはパパに教わった夕食を作ってあげることも増えた。

その度にパパは、凄く助かるなぁと口にした。

パパの役に立てていることが、心底嬉しかった。

もっとパパの役に立ちたい。

ママなんかいなくても、私が代わりに全部やってあげるから……

そう思うようになっていった。

私のことを誰よりも可愛がってくれて、たくさんの愛で私を育ててくれたパパ。

そんなパパのことが大好きで、私もたくさんの愛を伝えてきた。

そのパパへの愛が恋だと気づいたのは、私が中学3年生の時だった。