キミが残してくれたモノ (ページ46)

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「わたし、佐々本あや子。よろしくね。」

「ぁ……玉森A。よろしく……。」

初めてあや子ちゃんと話をした時のことを、今でもよく覚えている。

あや子ちゃんをみた時の第一印象は、色白で目鼻立ちがハッキリしていてお人形さんみたいなコだなぁと思った。

「Aちゃんて、いつもパパがお迎えだよね？」

「うん……。わたしのママは死んじゃっていないから、パパとふたりで暮らしてるの。」

「そうなんだ。うちはりこんしてママと弟と暮らしてるんだぁ。」

この時、ママが亡くなっていることを自分の口から初めて話すと、あや子ちゃんもパパがいないことを教えてくれた。

それから、あや子ちゃんのママはフランス人で、自分はハーフなんだと言っていた。

「だからこんなに綺麗な色の髪の毛してるんだね？」

「褒めてくれて、ありがとう。でも、染めてるんだろとか、ヤンキーだって言われるから嫌いなんだぁ……。」

あや子ちゃんの悲しそうな表情を見て、心の傷を知った。

お互いに感じるモノがあったのか、私たちは自然と仲良くなっていった。

クラスは違うけれど、学童に行けば同じように悩みを抱え、傷ついた心を持ったあや子ちゃんに会える。

一緒に喋って、笑って、遊んで。

楽しいことも嬉しいことも一緒に味わって、悔しいことも辛いことも一緒に支え合ってきた。

友だち、家族、夢。

あや子ちゃんは自分が大切にしているモノを、私にいっぱい教えてくれた。

その時のあや子ちゃんは、いつもキラキラ輝いた瞳をしていたのが印象的だった。

もしもあの時あや子ちゃんに話しかけてもらえていなかったら、私の人生はとてもつまらないモノになっていた気がする。

だからこの小学4年生でのあや子ちゃんとの出逢いには、大人になった今でもとても感謝している。