キミが残してくれたモノ (ページ45)

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ごめんね、Aちゃん。

こんなダメダメなパパで、本当にごめんね。

どうかこれ以上Aちゃんが傷つきませんようにと、実樹ちゃんの前で手を合わせた。

・

その日から俺はAちゃんに変わりはないか、注意深く見るように意識した。

北山さんにも事情を話し、下校して様子がおかしかったら教えて欲しいとお願いした。

けれどこれと言って変わった様子も見られなかったし、夏休みに入ったこともあって安心していたのかもしれない。

「Aちゃん、明日の準備は出来た？」

「うん。ちゃんと宿題も工作も、全部玄関に準備したよ。」

「おっ、偉いねぇ。明日から久々の学校だねー。」

「うん。わたし、楽しみ！」

学校を嫌がる素振りもなく、いつもと変わらぬ笑顔に安心した。

翌朝Aちゃんは珍しく自分から起きてきた。

動物園の時も遠足の時も、いつもそう。

普段は全く起きないのにAちゃんは、なにか楽しみなことがある日は不思議と自力で起きてくる。

だから久しぶりの学校を本当に楽しみにしているのがわかって、俺も安心して行ってきますと先に家を出ることができた。

その後もAちゃんは毎日笑顔で登校し、一緒に風呂に入りながら楽しかった学校での出来事を話してくれた。

休み時間にみんなでドッジボールをしたこと。

教室で飼ってる亀が脱走しかけたこと。

佐野先生に絵を褒められたこと。

どれも本当に嬉しそうに、にこにこしながら俺に教えてくれた。

それから………

「あとねっ、学童であや子ちゃんと一緒に一輪車したんだよぉ！」

「………あや子ちゃんと？」

「うん。違うクラスの子なんだよぉ。」

「へー、そっかぁ！楽しそうでいいなー。」

ふたり暮らしになってから、Aちゃんの口から初めて友だちの名前が出てきた。

この時の俺は、平静を装っていたけれど内心めちゃくちゃ嬉しかったのを覚えている。

あや子ちゃん。

今も変わらずAちゃんと親友でいてくれて、ありがとうね。