キミが残してくれたモノ (ページ43)

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「いただきまーす。」

広大な敷地に広がる草地の広場に集まって、リュックから取り出したひとり用の小さなシートを広げてみんなでお弁当を食べ始めた。

お弁当箱の蓋を開けるとカニさんウインナーに唐揚げ、トマトとブロッコリーに、私のリクエストした卵焼きが2つ入っていた。

ご飯は鮭と白胡麻が混ぜられていて、小さなデザート入れにはさくらんぼが詰められている。

どれも美味しそう！

パパが作ってくれた初めてのお弁当にわくわくしちゃう。

どれから食べようかなぁ。

やっぱり卵焼きから食べようかなぁなんて迷っていると、私のお弁当を見たクラス男のコが、突然大きな声を上げた。

「おい、見ろよー！玉森の弁当に入ってる卵焼き、焦げててすげー不味そう！」

「えー、どれー。」

「うわー。失敗作だー！」

「パパが一生懸命作ってくれたんだから美味しいに決まってるもん！」

数人の男のコにパパが作ってくれたお弁当を馬鹿にされたことが悔しくて大きな声で言い返したのに、そのコは更に続けて笑った。

「アハハ！お母さんじゃなくてお父さんが作ったから焦げてんだー！」

「ちょっと、男子やめなよ！Aちゃんが可哀想でしょ！」

隣でそれを聞いていた女のコたちが庇ってくれて、先生を呼びに走ってくれた。

ひとりになった私は、やっぱり一番最初に大好きな卵焼きを食べることにした。

・

その日の夜もいつものようにパパと一緒に湯船に浸かりながら、今日あった出来事を話していた。

「遠足どうだった？楽しかった？」

「凄い楽しかったー！あのね、大きいSLに乗ったりね、すっごい長い滑り台も滑ったんだよぉ！パパが想像してるのよりもっと長いよ？」

「フフフフっ、そんなに長いんだー。パパも滑りたかったなー。」

「でもきっとパパは途中で、お尻痛くてもうやだーって言うと思うよ？」

「フフフっ。」

私の話を聞いたパパは、Aちゃんはよくパパを知ってるねと笑った。

「あのローラー滑り台、めっちゃお尻痛くなるから、本当はパパ苦手なんだよねぇ。」

「きゃははっ。やっぱりー。」

パパって意外とへなちょこだからね。

可笑しくて私は暫く笑っていた。