キミが残してくれたモノ (ページ39)

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39…T ページ39

「クラスに数人、保育園から一緒のお友だちがいるようで、何度か変わってるAちゃんの苗字のことで揶揄われている場面を見かけ、注意したことが一度あります。」

「そうですか……。」

「Aちゃんには、また嫌なことを言われたらすぐ教えて欲しいと伝えてあるのですが、今のところその報告は一度もないです。」

「そうでしたか……。」

話を聞いていると胸が痛み、苦しくなってきてしまった。

けれど内容にはやっぱりかとも思った。

母親が亡くなったことではなく父親が幾度となく変わってきたことでAちゃんは嫌な思いをしてきたんじゃないかと思っていたから、それが的中してしまった。

「勉強の方は真面目に取り組んでますよ。先日持ち帰った工作は金賞ですし、手先が器用でとても上手に作れていました。」

Aちゃんが工作が得意なことも金賞に選ばれたことも、俺はこの時まで知らなかった。

気づけなかったのは普段の会話やコミュニケーションが足りてなかったのかもしれないし、Aちゃんのことをきちんと見てやれていなかったせいだと猛省した。

もっとAちゃんのことを知りたいし、わかってあげたい。

何よりAちゃんが何でも言えるような父親になりたいと思う。

だけどこれ以上なにをどう頑張ればいいのか、正直言ってわからない。

「パパ、終わったの？」

「うん、終わったよ。北山さん、預かって頂けて凄く助かりました。」

「全然いいのよ。またいつでも頼ってね。」

「本当に毎回ありがとうございます。」

「パパ、もう行こうっ。みっくんママ、またね！」

「あらあら、んふふっ。またね、Aちゃん。」

「待って、Aちゃんっ。あー、なんだかすみませんっ。」

Aちゃんを迎えに行くと、飛んでくるように出てきたAちゃんは、俺の腕を急かすようにグイグイと引っ張って行った。