キミが残してくれたモノ (ページ38)

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「パパっ！今日は家庭訪問だから、絶対忘れないで帰って来てよ！」

「大丈夫よーん。じゃ、行ってくるね。」

「行ってらっしゃい。」

見送りに来てくれた玄関で、Aちゃんとぎゅーっとハグをし合ってから家を出た。

いつもと何ら変わらない朝の光景。

だけど俺は、昨夜からずっとドキドキしていた。

それは担任の先生にどう思われるのか不安で仕方なかったから。

自分より年下の血縁関係のない男が父親と名乗ることを、どう思われてしまうのか。

ふたり暮らしになってからの俺は、自分の低すぎる年齢やAちゃんと血の繋がりがないことに対して、酷く劣等感を抱くようになってしまった。

父親として自信のない俺は、きっとどこかで人の目を気にしているのかもしれない。

・

「初めまして。いつもAがお世話になっています。」

「初めまして、Aちゃんの担任の佐野と申します。」

俺を見た担任の佐野先生は、一瞬驚いた顔をして見せた。

今の家庭訪問は昔と違って部屋にあがることはせず、玄関先での立ち話程度で終わりらしく、飲食物も不要なんだとか。

Aちゃんには先生とのやり取りを聞かせるのは良くない気がして、北山さんにお願いをして預かって貰うことにした。

「お父様もAちゃんも、色々と大変でしたね……。」

「あ、はい。今はもう家の方はだいぶ落ち着いたんですけど……Aは学校ではどんな感じで過ごしていますか？みんなと仲良くやれていますか？」

「今までの担任にも様子を聞いているのですが、やはり以前と比べると笑顔が少なく、お友だちに対しても消極的になってしまっています。」

「そうですか。あのーこんなこと聞くのはあれですけど、虐められたりとかはないですか？うちの家庭環境のことで、まわりになにか言われてるんじゃないかと心配で……。」

一番気になっていたことを正直に聞くと、佐野先生は言いにくそうに口を開いた。