27…T ページ27
今日は一日よく歩いたから、疲れたんだね。
ご飯を食べたらすぐに眠いと言いだして、ベッドに入るとAちゃんはあっという間に眠ってしまった。
寝る時も大事そうにうさぎちゃんを抱っこしていたし、相当気に入ったらしい。
「おやすみ、Aちゃん。大好きだよ。」
そっと頭を撫でてから寝室を後にした。
そのままキッチンの下で一服しながら今日はいい日だったなぁと、ひとり思い返していた。
普段は全然起きないAちゃんが、動物園が楽しみ過ぎて先に起きて自分で用意をし、俺が起きるのをずっと待っていたこと。
自分の食べたいお菓子を、真っ先に俺にくれたこと。
Aちゃんの笑顔もたくさん見れたし、どれも本当に嬉しかった。
俺たちは血の繋がりのない父娘だけれど、この先も親子としてきっと良い方向へ進んでいける、そんな気がした。
明日はどんなことしてAちゃんと過ごそうかな。
・
翌朝リビングで新聞を読んでいると、Aちゃんの俺を呼ぶ声が聞こえてきた。
やっと、起きたかな？
「おはよー、Aちゃん。」
「おはよう……。」
寝室へ入るとAちゃんはうさぎちゃんを抱えて座っていた。
「Aちゃん、シーツ取り替えるから濡れたパジャマ、着替えておいで？」
「あの、パパっ。」
「ん？どした、具合悪い？」
「ううん、違う。」
Aちゃんは首を横に振りながら、布団から出てきた。
「あれれーっ？地図がないじゃーん！」
「パパっ、漏れちゃう……！」
「おわーっ、急げー！！」
Aちゃんの手を掴んでトイレまで猛ダッシュ！
ふぅ。
なんとかセーフか！？
「間に合った。」
「Aちゃんっ、凄いじゃーん！！やったねー！！」
「えへへっ。A、凄い？」
「うん、凄い！偉いよ、Aちゃーん！」
トイレから出てきたAちゃんの頭をわしゃわしゃしながら褒めてあげると、Aちゃんは頬を桃色に染めながら照れていた。
「ミミちゃんのおかげ。」
「ミミちゃん？」
「パパに買ってもらったうさぎ。一緒に寝たから」
「そっか、ミミちゃんがいてくれたから安心して眠れたんだねっ。」
「うん。」
ママが亡くなったあの日から、毎日続いていたAちゃんのおねしょ。
それは心配や不安の表れかなと思っていたから口にしたことはないけれど、内心凄く心配していたことだったから。
やばい。
俺、めっちゃ嬉しいかも……
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作者名：にかみつば
| 作成日時：2020年10月10日 10時
