キミが残してくれたモノ (ページ3)

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ママはスナックで働いていたけれど、結婚を期に仕事を辞めた。

私が学校から帰ってくると、いつもママが笑顔で迎えてくれて、それだけで私は嬉しくて幸せだった。

裕太くんはママの3つ年下で、パティシエの仕事をしているんだと教えてくれた。

裕太くんのことは流石にパパとは呼べなくて、初対面の時に言われた、“裕太くん”と呼ぶようになった。

そんな私の気持ちを裕太くんも理解してくれて、それを受け入れてくれている。

一緒に暮らすようになって一年が過ぎた頃、私はようやく裕太くんのことをパパと呼べるようになっていた。

それから更に一年が過ぎ、ようやくこの3人での新しい生活が当たり前の日常となってきた頃のこと。

「ねぇ、パパ。ちょっと話があるの。」

「なにー？どしたの？恋の相談？」

「もうっ、ちがうよぉ！」

ママがお風呂に入った隙に、テレビを観ているパパに向かってこっそり内緒話をした。

「あのね、もうすぐママの誕生日でしょ？わたし、ママに夕食作ってあげたいの。」

「わお、いいじゃん。絶対にママ、喜ぶね。」

「パパも手伝ってくれる？」

「もちっ。パパに任せなさいな。」

去年のママのお誕生日は前日からママがお出掛けで帰ってきたのは翌日の私が寝た後だったから、当日におめでとうが言えなくて。

だから今年のママの誕生日はサプライズでお祝いしてあげたいなぁってずっと思っていた。

料理が苦手な私はパティシエのパパに手伝ってもらって、夕食を作ってあげることにした。

当日は午後からママには美容院に行ってもらって、帰りに予約しているケーキを受け取ってきてもらうことになっている。

その間に私とパパで部屋の飾り付けと、誰が作っても失敗することのないカレーライスとポテトサラダを作ることにした。

「文字はこの辺でいい？」

「HAPPYのYをもっと上にしてー！」

「こんな感じー？」

「うんっ、いい感じ！」

壁にはHAPPY BIRTHDAYの文字と大きなハートのバルーンを飾り付けた。

パパが私にも内緒でネットで注文してくれていたみたいで、それを見た瞬間、可愛すぎてときめいてしまった。