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昼休憩の時間になり、各々が昼食などの休憩を挟んでいる時間帯。
Aは凪砂と共にライブ会場の設営状況を見に来ていた。
『さすがにコズプロの資金力ってすごいね。
こんなに豪華なステージを用意できるなんて』
「大きなライブだからかな。茨も、今回は張り切ってるみたいだし……」
凪砂はジッと自分たちが立つステージを見つめている。
そこは、『Trickstar』のステージからちょうど見えるような位置で、意図的に配置されていることはすぐに理解した。
『七種くんは戦略家だね』
「……ごめんね、茨が。私も、ここで完全に『Trickstar』を潰しちゃうのはどうかと思うけど」
『え？』
「……英智くんなら代わりを出してくるか、自分が出てくるだけ。
生かさず殺さず、深刻なダメージを与えるのが上策。
……嫌だなぁ。他を下げるより、自己を高めたい。
Aさんもそう思わない？」
凪砂の言葉は小難しく、普通は理解するのに時間がかかってしまう。
しかし、英智や零といった天才、奇才と接してきたAには、耐性がついてしまっていた。
ゆえに、凪砂の言葉に良い顔はできなかった。
『凪砂くんのそれは、憶測にすぎないよ。
希望的観測だって君は思うだろうけど、起きてもいないことを決めつけるのは野暮なことだよ。
……本番では、何が起きるかわからない。
でなきゃ、英智くんが負けるはずないもの』
Aがそう言うと、凪砂は黙ってジッとAの目を見つめる。
Aもそれに負けじと目を見つめ返す。
すると、Aのポケットのスマホが震えビクッと肩を揺らしそっと確認した。
『ごめんね、凪砂くん。私、少し用事があるから、またね』
「……うん。またね」
凪砂から離れながら、未登録の番号からの着信を受け取り、急いで秀越学園の玄関へと向かった。
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作者名：もぶピ
| 作成日時：2023年3月7日 1時
