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「学院祭」の準備は着々と進んでいき、いよいよ明日が本番の日。
その前日に『UNDEAD』は「学院祭」で使用する教室にて最後の準備をするために集まった。
『さて、明日は待ちに待った「学院祭」本番。
衣装、お菓子、飲み物と必要なものはすべて揃ったし、あとは飾り付けだけだね』
執事喫茶に使う空き教室に集まった『UNDEAD』とA。
『とりあえず、机とか全部一旦退けちゃおっか。
……ほら、零ちゃんもいつまでもそうしてないで、机運んでよ』
「…………」
零は教室の隅っこで体育座りをしてムスッとした顔でAにチラチラと目線を送り、拗ねていますよアピールをしてくる。
「なに?朔間さんと喧嘩でもしちゃった?」
『喧嘩はしてないけど……』
「我輩でもまだデートしたことないのに、日々樹くんなんかに先を越されるなんて……」
ブツブツと呟いている零を見て、Aは呆れたように溜息をつきながら零に近づく。
『もぉ、いつまでもそんなことで拗ねないの』
「だって我輩のAなのに……」
『別に零ちゃんのではないんだけど……
わかった。じゃあ「学院祭」の休憩中、一緒に回ってあげるから。
それでいい?』
Aはそう言うと零は顔をあげてキラキラと赤い目を輝かせる。
「いいのかえ?毎年誘っても、我輩と一緒だと目立つから嫌じゃと言っておったのに?」
『まぁ目立つのも嫌だけど……
零ちゃんがいつまでも元気がないほうが嫌だからね』
なんの意図があり、どの立場からの発言かはわからないが、零はその言葉が嬉しかったのか立ち上がり満面の笑みを浮かべる。
「……そうかそうか〜♪なら我輩、いっぱい頑張るぞい♪」
そう言い零は張り切って準備を始めた。
「うわ〜……ねぇ、本当にAさんって朔間さんと付き合ってないんだよね?」
『当たり前でしょ?ただの幼なじみだよ。
ほら、羽風くんもサボってないで手伝ってね』
そう言って一緒になって準備を始めるA。
それを見て羽風は同情の眼差しを向ける。
「あの朔間さんが見向きもされてないなんて……
あれじゃ、いつまでも進展はなさそうだね」
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作者名:もぶピ | 作成日時:2022年10月2日 23時