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「A……っ、僕は、君のことを_____」







伝えなければならない大切なことだった。

しかし、Aは残酷にもその言葉を先読みし、拒絶した。







『やめて、聞きたくない』

「っ……そう、だよね」







消え入りそうな声でそう言う英智に、少しの罪悪感が芽生えてしまい、自分のお人好しな性格に思わず溜息が出てしまう。







『英智くんの言いたい事は何となくわかるよ。

でも、君の”そういう”類いの言葉は、もう信用できない』

「うん……当前の報いだよね。

僕はかつて君の気持ちにつけ込み、利用し、吐き捨てた。

もう僕には、君を好きになる権利なんて______え?」







今にも泣き出しそうに話す英智を見てられなくなったのか、Aは英智の頬に手を添えて目を合わせていた。







『……ふっ、久し振りにちゃんと顔見たかも』







そう言うと、頬に手を添えていた手は英智の額を軽くデコピンした。







「イタっ、え……?」

『誰かを好きになるのに権利なんていらないでしょうが。

私のことが好きならそのままでいればいい。けど、私は絶対に君を男性として好きになるつもりはないよ。

これからも、君のことは1人のアイドルとして見ていく。

それでも私のことが好きだと言うなら、私の幸せを願って邪魔しないように端っこにいて』







そう言いきると、英智はポカンとした顔になる。

そして満足げに笑い出した。







「はははっ、まだ視界に入ってるだけマシかな。

なら諦めないよ。いくらでも可能性を作りだして、君に僕を好きになってもらうから」

『諦め悪いな〜……ま、好きにしてよ。

それじゃあね。日々樹くんももう来ると思うし、夏だからって油断して風邪引かないように』







Aはそれだけ言い残し屋上を去って行った。

1人、取り残された英智は、空を見上げ静かに微笑んだ。








「『次に大事な人ができた時は、間違えないように』……か。

君のこの言葉の通り、今度こそ間違えないようにするよ。


この、天の川に誓ってね。……なんて、少し臭い台詞だったかな」








天気予報を覆し晴れ渡った夜空には、美しい天の川が流れていた。

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作者名:もぶピ | 作成日時:2022年10月2日 23時

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