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『真緒〜！』
「あ。姉貴じゃん」
手を振りながら真緒に駆け寄っていくA。
『お祭り行ってきたの？』
「これから行くところ」
「衣更先生殿もお祭りに行くなら一緒にどうでござるか？」
『ふふ、いいの？』
「いや……姉貴は朔間先輩と祭りに来たんじゃねぇの？」
真緒はAの後ろからゆっくり歩いて来ている零を見ながらそう言う。
「全く、弟が見えた瞬間、我輩を置いて走り出すとは……ん？」
零は真緒の背中に隠れるようにしている仙石に目線を向ける。
『ほら。零ちゃんがおっきいから忍くんが隠れちゃったじゃん』
「我輩のせいなのかえ？」
「仙石は人見知りなもんで」
そう言うと、仙石は恐る恐る真緒の背中から出てくる。
「い、いきなり隠れてしまい失礼したでござる。
そうだっ、拙者、衣更先生殿にお会いしたらお礼を言いたかったのでござるよ！
此度の情報提供の件、感謝するでござる！」
『いえいえ、使えるものは使わないとね♪』
「情報？はて、なんのことじゃ？」
イマイチ話が読めないのか、零は首をかしげてAに問いかける。
『ほら、例の地下書庫あるでしょ？『七夕祭』に向けて、いろんな資料がほしいって言うからあの場所を教えてあげたの。
一度だけ行ったことあるけど、あそこ色んな資料が置かれててすごいんだね』
「その場所のことは２年ほど前に我輩が見つけた際におぬしにも教えたはずじゃが……？」
零がそう言うと、Aは素知らぬ顔をする。
『そうだっけ？
当時の零ちゃんの発言は、ほとんど話半分にしか聞いてなかったからな〜』
「なんじゃと！？」
『だって誰も知らない地下書庫とか、秘密の部屋とか嘘みたいな話ばっかりなんだもん』
Aと零が仲睦まじく話している様子を見て、仙石はポカンとした顔でいる。
「どうした？仙石」
「あ、いえ！すっごくお似合いでござるなぁ〜と思い、つい見つめてしまっただけでござるよ」
そう言われて、零は頗る機嫌を良くする。
「そうかそうか♪お主は確か、深海くんのところの子じゃな？
見る目があるのう〜よしよししてやるぞい♪」
「え、いや、あのっ……！？」
『やめなさいっての、怯えてるでしょーが』
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作者名：もぶピ
| 作成日時：2022年10月2日 23時
