【あんスタ】貴方の愛を求めます４【朔間零】 (ページ13)

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『遅くなりましたっ』

「衣更さん、ごめんねお休みの日に呼び出して。

予定とか何もなかった？」

『あ、いえ。気にしないでください』

資料などの確認のみなので、私服で構わないと言われそのまま家を出たA。

普段とは雰囲気の違うAに、上司は予定があると思ったのだろう。

だが社会人たるもの、遊びよりも仕事を優先すべきだという、今も昔も消えない悪しき風習は健在している。

特にこの芸能界ではそれが顕著に出ている。

老舗事務所ならなおさらだろう。

若くしてプロデューサーになったAを、面白がらない者もいる。

それを理解しているからこそ、零は仕事を優先したAを責めたりなど決してしない。

だが、その気持ちを利用したような気がして仕方が無かった。

『(零ちゃん、楽しみにしてくれてたのに、悪い事しちゃった……

「こっちは大丈夫、安心して仕事に専念してくれ」って言ってくれたけど、絶対に落ち込んでるよね。

零ちゃんは哀しいことがあると、話し方がゆっくりになるから……)』

頭の中で、零が昨日言っていた言葉が反響する。

「ようやく学生らしい青春ができる」＿＿＿＿＿＿

『(その望んだ「青春」は、抗争の最中に奪われてしまった……

そこにあるはずだった、ごく「普通」の何気ない「青春」……)

返してあげたいのに……なんで私っていつもこうなんだろう……』