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『逆先、夏目くん……』
「ボクのこと知ってるんダ。
まァ当たりまえカ。キミはあの抗争時代を生きてた人間なんだかラ」
逆先夏目といえば、元「五奇人」の魔術師として、1年生ながらこの学院の頂点にいた人物。
他の「五奇人」のメンバーの中でも、一番年下で可愛がられており、抗争時では、零や他の「五奇人」たちにより大事に守られ、渦中から遠ざけられてきた。
Aはそんな人物が自分を呼び出したことに驚いてはいたが、なぜか納得もしていた。
『私に、何か用かな?』
「聞きたいことがあってネ。
『皇帝の飼い猫』だったキミにネ」
その言葉だけで、逆先が自分に対し敵対心をもって接してきていることはすぐに理解できた。
「とりあえズ、いつまでも床に座りっぱなしにされるのも迷惑だシ、こっちの椅子に座ってヨ」
『あ、はい……』
Aはゆっくり立ち上がり、用意された椅子に腰掛けた。
『それで、その……私に聞きたいことって何かな?』
できるだけ穏便に済ませたいAは、笑顔で話を聞こうと微笑んでみせた。
しかし、逆先はその笑みを見ては不快そうな顔を浮かべる。
「そうやっテ、君は大事なものを見ないフリをして見捨てたんだネ。
_____巫山戯るなよ」
頭にズンと重くのしかかるようなその言葉に、Aの笑みは消し飛ばされた。
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作者名:もぶピ | 作成日時:2022年9月14日 1時