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零たちが転校生を攫って軽音部の部室で話をしている間、Aは職員室きていた。
「まさか、貴方が特別講師として戻ってくるとは思いませんでしたよ。
衣更Aさん」
『私もこんな早くに先生方に再会するとは思いませんでしたよ』
Aは職員室にて、椚と話をしていた。
「しかし助かります。
突発的に新設されたプロデュース科には現在、教師がいませんから。
在学時にも優秀だった貴方なら、信用して任せられます。
ですが大丈夫だったのですか？まだ新卒でしょう、貴方」
『そこは事務所の所長さんにちゃんと話をつけてきましたので。
こっちと併用する形ならってことでWワークの許可を貰ってます。
多忙には慣れっこですし、むしろそっちの方が落ち着きます』
「貴方……その歳でワーカーホリックを患っているんじゃないでしょうね？」
椚は心配したような目でAを見るが、満足げな笑みを浮かべているAを見て考えるのをやめた。
「とりあえず、契約書の書類などはこれで全てですので、明日からよろしくお願いします。
今日はもうご帰宅に？」
『その転校生ちゃんに挨拶だけでもしてから帰ろうと思ってます。
それじゃあ明日から同僚としてよろしくお願いしますね、椚先生』
Aはそう言うと職員室を出ていこうとする。
しかし、椚に呼び止められる。
「貴方のことは信用していますが、くれぐれも、学院の秩序を乱すようなことはしないように。
学生じゃなくなった貴方を、擁護する気はありませんからね」
『……はーい、わかってまーす』
生徒会の顧問である椚は、Aが生徒会でも制御しきれない『三奇人』である零と特別親しい仲であることを知っているためか、２人が協力して何かを仕掛けないかと考えているのだろう。
学生の頃から、Aは零に巻き込まれる形でよく校則違反をしていたので、生活指導の椚からは目をつけられていた。
それでも信用してもらえるのは、優秀であるということが大きかった。
『やだやだ。私はなーんにも悪くないのに。
さて……転校生ちゃんは今頃、零ちゃんのところかな？』
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作者名：もぶピ
| 作成日時：2022年9月1日 21時
