【あんスタ】貴方の愛を求めます【朔間零】 (ページ12)

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人気のない中庭。

日よけのある屋根の下のベンチに、二人はいた。

「それでね、その時敬人が＿＿＿＿＿＿＿」

『ふふっ、昔からあんな感じなんだね』

仲睦まじく会話を楽しんでいるところに、ズカズカと近づいていく零。

そして何も言わずAを後ろから抱え、肩に担いだ。

『えっ、ちょ、零ちゃん！？』

「悪いが、こいつちょっと借りてくわ」

零はそう言うとそのままどこかへAを連れていってしまう。

その後ろで天祥院が二人をジッと見つめていた。

『零ちゃん、帰ってきてたのっ？だったら連絡してくれたら迎えに行ったのに……』

「いつもだったら何も連絡せずとも来るだろ。

彼氏様ができて、それどころじゃなかったってか？」

零はそう言うと、Aをそっと下ろす。

『どうしたの？』

「彼氏ができたって……」

『あぁ……』

否定してほしかった。勘違いだよ、といつものように冗談だと返してほしいと零は願った。

しかし、Aの表情から、冗談めいたものは一切感じられなかった。

『うん、できたよ。

さっきの彼が、私の彼氏。英智くんって言うの。

零ちゃんが留学中に仲良くなってね、彼の方から告白されて付き合う事になったんだよ』

零は心底自分自身を恨んだ。

引き摺ってでも、バッグに詰めてでも、目の前にいる愛する女から目を離すべきじゃなかったと。