今日も誰かに恋してる。２

・キスマーク… Ki ページ7

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＊パピヨンの少女 ボツ話







「おかえり。」


「ただいまーって、あれ。珍しいじゃん。こんな時間から洗濯すんの？」


「うん。あのね、帰りの電車が遅延で帰宅するのが遅くなっちゃって、雨で濡らしちゃったの。」


「あぁ、そうだったんだ。」


「だからもう一度洗い直すところなの。」


「マジか、お疲れさん。」




仕事を終えて帰宅すると、Aが洗濯機をまわすところだったみたいで。





「んじゃ、これも一緒にお願いしていい？」


「うん。いいよ。」


「俺、シャワー浴びてくるわ。」


「はーい。」



着ていた服と一緒に鞄の中からTシャツとジャージを取り出して渡し、俺はそのまま風呂に直行した。










「ねえ、ミツ。」


「えー、なんか言ったー？」



身体を洗っているとAの呼ぶ声がしてシャワーのコックを捻って止めると、Aが風呂の扉を開けて顔を覗かせた。





「なに、どした？」


「これ……。」


「え、なに？」


「赤い口紅ついてる。ミツ、誰かとキスしたの？」


「え……あっ、本当だ。」




Aが手にしていたのは俺がさっき渡したばかりの、稽古中に着ていたTシャツで。




肩の辺りにくっきりとキスマークがついていた。







「あぁ、きっとあん時のかなぁ……。」



「どの時……？」




今日はドラマで大量の血糊を使うシーンの撮影で失敗が許されず、何度もリハーサルを重ねてから本番に挑んだ。





揉み合う場面だったからきっと、あの子の口紅がついたのかもしれない。






「ごめん、ドラマの撮影で相手役の子のがついたんだと思うわ。」



正直に話したけれど、Aの質問は止まらない。






「その人と、抱き合ってたの……？」


「えっ。」


「普通、すごく密着してなくちゃこんな風にはつかないと思うから。」


「まあ、抱き合いもしたけど……。」



やましいことなんてないけれど、Aに放送中のドラマは今も観せていないから、どう返したらいいのか、まごついてしまう。

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