誘う ページ43
「戻りました」
「神谷さん……」
部屋に戻ると、所在なさげに佇む名字A
振り返ったその顔は、先程よりどこか血色が悪い
「俺がいない間に、何かありましたか」
近づいて頬を包み込んだ
僅かに冷たい感じがするが、どこか傷を負ったりしている様子はない
「いえ、特にはなかったです」
そうは答えてくるものの、無意識か俺の服を掴んでくる
一度過呼吸を起こしたときはひどく体が冷たく感じた
今はどうだ
大丈夫なのか
「Aさん、また、無理しましたね」
彼女を胸に抱き寄せた
あのときほどの冷たさまではいかないが、素のときの体温より確実に低い
過呼吸まではいかないにしても、確実に精神的に弱っている
「大丈夫ですか？」
抱きしめたまま頭を撫でる
包帯が外れた彼女の頭と、未だに包帯に覆われた俺の手
体の傷は治るのに心の傷は癒えない彼女
不意に胸元に頬が寄せられた
これが、また、いつもと違う
普段は素直にしないはずだ
仕事スイッチはかなりの頻度で見るが
彼女は新しいスイッチを開拓したのだろうか
事件を思い出したあのときも、やけに素直にしていたからな
「苦しくなったりしたんですか」
「はい、さっき、少しだけ……」
見上げてくる目は虚ろだ
名字Aは暗示にかかりやすい
まだ付き合いは浅いものの、なんとなくそういう印象がある
少し刺激してやったら戻るだろうか
口実をつけて、体を屈めた
ひとつ額に口づける
ぱちりと瞬きしただけだ
足りないか
なら、今度は口に……
「ストーーーップ！！！」
「え？！」
「………………………………。」
「俺の！存在！！！無視しすぎぃ！！！」
名字Aの瞳に色が戻る
新たなスイッチから戻ってきた
他ならぬ
水
城
さ
ん
の声で
「あれ？水城さん居たんですか？」
「許すけど！Aちゃんまで酷すぎだよォ〰️」
むかつく
「ごめんなさい！ぼーっとしてて……」
「Aちゃんはいい！神谷はダメ〰️」
彼女を戻すのは俺の役目だ
「ホント、いっつも仲……？……んぅ！」
気づけば体が動いていた
「ちょっ……何？神谷さん……」
唇を押さえて顔を真っ赤にしている彼女
俺に戸惑う姿に満たされる
「さっきの続き。わかんだろ」
僅か5�僂了蟠甬�離
目をさ迷わせる名字A
俺以外に動かされてんじゃねえよ
身勝手な思いが込み上げて、もう一度距離を縮める
「お、お巡りさん……この人です……」
俺は水城さんに突き出された
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はむ(プロフ) - 明里香さん» ご指摘ありがとうございます！ (2019年8月31日 9時) (
レス) id: 62ba10663f (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 誤字がありました。「大を占めるが」ではなく、「大部分を占めるが」です。 (2019年8月30日 21時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 誤字がありました。「ベッドの上での再開」ではなく、「ベッドの上での再会」です。 (2019年8月30日 21時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
はむ(プロフ) - ななみさん» ななみさん 応援コメントありがとうございます！うれしいです！更新続けられるようにがんばりますね(^^) (2019年8月28日 11時) (レス) id: 62ba10663f (このIDを非表示/違反報告)
ななみ - はむさん！頑張ってください！ 応援しています！ (2019年8月27日 23時) (レス) id: 3f5cfa4750 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はむ | 作成日時：2019年8月22日 23時
