告げる ページ19
「こうしていると、新婚のようですね」
「贔屓目に見ても介護ですから」
真顔で声を掛けられる
入院生活は相当暇なんだろう
今日も神谷さんは絶好調だ
彼の口に昼食を運びながらも いつもの軽口は止まらない
出来るだけ過ごしやすい入院生活を……と、思えば思うほどからかう彼に
正直、私も投げやりになってきた
「熟年夫婦ですか。気の早いひとですね」
「……ポジティブ過ぎにも程があるでしょ」
私も本調子にはまだ遠いから、気を遣わなくて済むのはありがたいけど
「あなたはそっちの方がいい」
表情を緩めて撫でられる
"そっちの方"ってなんだろう
事情聴取を受けた辺りで私は記憶が抜けている
気がついたときには神谷さんが居て
その時から彼は様子が違う
なんか、どことなく優しいのだ
「傷、痛みませんか」
撫でてていた手が包帯に伸びて、そっと確認するように触れられた
「……前より、痛みは減ってます」
これじゃあどっちが患者なんだか
でも、ホントにちょっとだけ上がった口角に、嬉しく感じてしまう不思議
「Aちゃ〰️ん♡ついでに神谷も！おじさんがちょっと来ましたよ〰️」
「あ……」
「セクハラ容疑でブチのめしますよ」
がらりと病室のドアが開いて水城さんがやって来た
昼休憩だと言いながら時々こちらに顔を出してくれる
「神谷はもうちょっと感謝しなさいよ〰️
いろいろ情報知りたいでしょ〰️〰️？！」
「はいはい。カンシャシテマスヨ」
「ホントにかわいくないお前」
なんだかんだじゃれあいながら、ベッドから起き上がる神谷さん
神谷さんは松葉杖まで回復した
「男同士でエ ロい話をしてきます」
「マジ！？」
昨日は "宇宙の神秘に触れてくる" だったな
「少しの間 離れます。あなたはゆっくり休んでください」
「あ、はい。わかりました」
ぎらりと一瞥してくる視線が 私の目を貫いた
素直にベッドに横になる
言うこと聞かなきゃ変な目に遭わされそう
神谷さんは過保護かもしれない
あの日から特にそう思う
口を開けば"無理するな"だし
こうやって水城さんと移動するのは、私に事件のことを聞かせたくないから
変な言い訳はなんでだろう
それを私に知られたくないから？
…………まあ、そんなこと あるわけないか
そういうひとだ
いたずらっ子だし
少し寝ようと目を閉じたところで、もう一度ドアが開いた
「Aさん！こんにちは」
「藤代さん…………」
刑事さんは暇なのだろうか
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はむ(プロフ) - 明里香さん» ご指摘ありがとうございます！ (2019年8月31日 9時) (
レス) id: 62ba10663f (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 誤字がありました。「大を占めるが」ではなく、「大部分を占めるが」です。 (2019年8月30日 21時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 誤字がありました。「ベッドの上での再開」ではなく、「ベッドの上での再会」です。 (2019年8月30日 21時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
はむ(プロフ) - ななみさん» ななみさん 応援コメントありがとうございます！うれしいです！更新続けられるようにがんばりますね(^^) (2019年8月28日 11時) (レス) id: 62ba10663f (このIDを非表示/違反報告)
ななみ - はむさん！頑張ってください！ 応援しています！ (2019年8月27日 23時) (レス) id: 3f5cfa4750 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はむ | 作成日時：2019年8月22日 23時
