79 ページ35
胸が張り裂けてしまいそう
気がつくとどうしても考えてしまって
あのとき名前を呼ばれた気がしたけれど
あれは私の勘違いかもしれない
別の 思いを寄せた方の幻影を重ねられたのかも
ずきずきと痛む胸が辛すぎて
思わず胸元を握り込んだ
相良さんは別に好きな方がいるのだろうか
私との縁談は、もしかしたら邪魔なのでは？
そんなことを考える度に辛さは増してくるばかりで…………
やっぱりわからない
好き は幸せなものだと思ってた
こんなに、こんなに辛いのに
この気持ちは本当に 好き なの…………？
私に背を向けて お休みになっている相良さんに、さらに胸が苦しくなる
以前は抱きしめて眠ってくださった
眠ってしまうまで撫でてくださったことも
自分から卒業を切り出したとは言え ここまで必要とされないことは、思った以上に私を苦しめた
相良さんに大事だと言っていただけたこともあり、少しだけ期待していた
兄には否定されたけれども、もしかしたら少しでも触れたいと思われるのではないか
必要と思われているのではないかと…………
やはり 私は誰からも必要とされない
思い出の箱を開けようとしてもどうしても駄目で、押さえきれずに込み上げる涙
「…………ッ……………………ッ…………………………」
こんな風に泣いたのは、あの日蓋を閉じてから初めてだ
すべて諦めてしまえれば楽なのに
はじめから期待なんてしなければ…………
「…………ん……………………」
ゴソ…………と布団が動いた音がして、相良さんが寝返りをうたれたのだと気づく
「あんだ…………お前ぇ…は………よく泣くな………」
寝ぼけているらしい相良さんに 肩を掴まれ向き合わされた
「仕方ねえ…な…………ひとりで、泣くなっつったろ…………」
胸に包み込まれて 混乱した
ひとりで泣くな なんて言われたことない…………
相良さんは誰と勘違いされてらっしゃるの？
「どうせ、また夢か幻覚…なら…………」
少し体を離されて、顎を掬い上げるように顔を上げられる
少しぼんやりとした目線と目があって
「…………んッ…………は…………ッ…………」
深い深い口づけ
驚いてされるがままになっている間に 私の髪を撫でる手つきは
まるで慈しむような優しいもので
「お前ぇが好きだ」
ふわっと微笑んで抱きしめられる
私は好きを意識したその日に 失恋の痛手を痛感した
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 186人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はむ(プロフ) - Kurumiさん» こんばんは！コメントありがとうございます(^^)そんな風に言っていただけるなんて、ホントにホントにうれしいです！なかなか進まなくて申し訳ないですが、がんばります！ (2019年5月23日 21時) (
レス) id: 62ba10663f (このIDを非表示/違反報告)
Kurumi(プロフ) - こんばんは、続きが気になっていたので更新して頂いて、とても嬉しいです。毎回、ドキドキワクワクキュンキュンしています。 (2019年5月22日 22時) (レス) id: 75910d6f0a (このIDを非表示/違反報告)
はむ(プロフ) - 蓮華さん» コメントありがとうございます！この話一旦休憩するか迷ってたのですが、元気出ました！うれしい言葉をありがとうございます！がんばりますね( ｡ﾟДﾟ｡) (2019年5月16日 8時) (レス) id: 62ba10663f (このIDを非表示/違反報告)
蓮華(プロフ) - いろいろ感想を言いたいのですが長くなってしまうので一言だけ…ほんっとに最高です！！続き楽しみにしてます(*´∀｀*)作者さんのペースで頑張ってください(^_^)v (2019年5月16日 8時) (レス) id: e9716c5c75 (このIDを非表示/違反報告)
はむ(プロフ) - 青菜さん» 青菜さま！！こちらでもコメントうれしいです( (*ToT)相変わらずゆっくり進むかと思いますががんばりますね！元気をもらいました！ありがとうございます！！！ (2019年4月6日 14時) (レス) id: 62ba10663f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はむ | 作成日時：2019年4月5日 23時
