67 ページ23
「お前ぇ、本気なのかよ…………。
女にとってはそういうもんは大事なんだろ？
まぁ、そういったことはちゃんと付き合って、出掛けたりして、キスだのなんだの…………いろいろ順番があんだろ…………
俺だって別に興味がねえ訳じゃねえし、お前ぇのことだって、その、なんつーか…………」
珍しく歯に衣を着せた言い方をする彼を 半ば他人事のように見上げていた
誰からもひととして愛されない私を
優しいあなたは気遣ってくれるのね
「きっと…………私は、明日からここに来れないわ」
「あ？なんでだよ。…………やっぱり、お前ぇも犯罪者の息子は嫌かよ…………！！」
「私がそれを気にしないこと、あなたならわかってくれていると思うけど…………」
「じゃあ、俺が嫌いになったのか」
「…………嫌いなら抱いて欲しいなんて言わないわ」
「じゃあなんでだ！納得いかねえ…………」
私だって納得いかない
でも、私は明日から、早ければ今日家に帰ってからでも
自分を自分のものとして過ごすことができなくなるの
「…………私を助けると思って抱いてほしいの。私が私として、あなたといっしょにいた証がほしい。
一生忘れられないように、思い出として刻んでほしいの」
私が、私の意思として 自分の体を使いたい
それが許されなくなる前に
たった 一度だけでもーーーーー
見上げた彼は 少しだけ傷ついた顔をしていた
あなたの優しさに付け込むなんて、私は本当に ひととして生きる価値などないのかもしれない
「理由は…………？教えてくれねえの？」
「……………………………………………………。」
思わずぽつりと涙が落ちる
これから私が道具として汚されていくことなど、優しいあなたに知られたくない
もしも、もしもあなたの思い出に残れるとするなら
きれいなまま残してほしい
ちゃんと ひととして残してほしい
「言いたくねえなら もう聞かねえよ…………」
後頭部が引き寄せられて
私は初めて抱きしめられるということを経験した
冷たくなった体も心も 全部が暖かく満ち足りていくものだった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 186人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はむ(プロフ) - Kurumiさん» こんばんは！コメントありがとうございます(^^)そんな風に言っていただけるなんて、ホントにホントにうれしいです！なかなか進まなくて申し訳ないですが、がんばります！ (2019年5月23日 21時) (
レス) id: 62ba10663f (このIDを非表示/違反報告)
Kurumi(プロフ) - こんばんは、続きが気になっていたので更新して頂いて、とても嬉しいです。毎回、ドキドキワクワクキュンキュンしています。 (2019年5月22日 22時) (レス) id: 75910d6f0a (このIDを非表示/違反報告)
はむ(プロフ) - 蓮華さん» コメントありがとうございます！この話一旦休憩するか迷ってたのですが、元気出ました！うれしい言葉をありがとうございます！がんばりますね( ｡ﾟДﾟ｡) (2019年5月16日 8時) (レス) id: 62ba10663f (このIDを非表示/違反報告)
蓮華(プロフ) - いろいろ感想を言いたいのですが長くなってしまうので一言だけ…ほんっとに最高です！！続き楽しみにしてます(*´∀｀*)作者さんのペースで頑張ってください(^_^)v (2019年5月16日 8時) (レス) id: e9716c5c75 (このIDを非表示/違反報告)
はむ(プロフ) - 青菜さん» 青菜さま！！こちらでもコメントうれしいです( (*ToT)相変わらずゆっくり進むかと思いますががんばりますね！元気をもらいました！ありがとうございます！！！ (2019年4月6日 14時) (レス) id: 62ba10663f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はむ | 作成日時：2019年4月5日 23時
