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「おかえりなさいませ。お嬢様」


形ばかりの『お嬢様』という呼び掛けに、ひとつ会釈を返した

今日は仕事はお休み

これまでの首尾を報告するよう言われて実家に戻る


胸がギリギリして、お腹のなかを冷たい風が通り抜けた

嫌だ

行きたくない

この家は

キライ



覚えたての感情がじわじわと沸き上がる



「Aです」

「入れ」


重く冷たい扉を ゆっくり開けた



「お久しぶりです。お父様」


「どうだ。あの小倅との生活は」

挨拶にもひとつ頷くのみで本題だ

その事には特になんとも思わないけれど

相良さんを馬鹿にしたような物言いに
またひとつ 負の感情が滲み出す


「優しいお方で、良くしていただいております」


「そういうことを聞いているわけではない。お前が自分の役割をしっかり果たせているのかと聞いている」


「私の…………役割…………」


「血も繋がっていない、親から見放されたお前をここまで養ってきた恩を忘れたか。
少しでも役に立ちたいという気持ちはお前にはないようだな」


容赦のない瞳が静かに私を見据える


「お前の役目を言ってみなさい」


逆らえないのだ

この人には



「私の役目は、相良さんを…………」



本当に言わなくてはならないのだろうか

口に出すことすら 嫌な言葉を


お父様の瞳に怒りの色が灯る

震える手をぐっと押さえつけ



「私の役目は、相良さんを…………篭、絡して、双方の会社の結び付きを強固にすることです」


「なら、どうして体を差し出さない」


「それは…………」






言葉に窮している間に書斎のドアが開いた






「おいおい、道具が一丁前にふるえてるよ」


「お兄様…………」


侮蔑の眼差しを向けた兄が 横柄に応接椅子に腰かけた




「お前、まだ相手の男と関係もってないんだって?…………とんだ役立たずだな」




兄がやって来たことで、もうお父様の興味は完全に逸れた

特にどうという感情もなく

ただ傍観するだけ





「道具育てるにもな、金がかかるんだよ。お前にそっちの手練手管を教えさせるのにもな。」


おぞましい指導の記憶が蘇り 思わず唇を噛み締める

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設定タグ:今日から俺は , 相良猛 , 開久高校   
作品ジャンル:恋愛
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はむ(プロフ) - 蛇姫さん» 蛇姫さま 2回目のコメントありがとうございます!スッゴくうれしいです!鬱展開でもお付き合いくださってありがとうございます!ゆっくりですががんばりますね(*^^*) (2019年3月27日 1時) (レス) id: 62ba10663f (このIDを非表示/違反報告)
蛇姫(プロフ) - 作品読ませてもらってます。心が温まります!相良さんの優しい雰囲気がすごく好きです。作者さんのペースで更新頑張ってください!応援してます (2019年3月25日 11時) (レス) id: c00677cd65 (このIDを非表示/違反報告)
はむ(プロフ) - 青菜さん» 青菜さま うれしいです!私もいただいたコメント何度も読み返してしまいました!ゆっくり更新で申し訳ないですが、これからもよろしくお願いします!! (2019年3月3日 15時) (レス) id: 62ba10663f (このIDを非表示/違反報告)
青菜 - めちゃくちゃ好きで何度も最初から読み直してます。更新大変だと思いますが頑張ってください! (2019年3月2日 23時) (レス) id: dec0cd6493 (このIDを非表示/違反報告)
はむ(プロフ) - 蛇姫さん» 蛇姫さま 楽しみにしていただけてうれしいです!なかなか今回は書くのが進まないので、コメントすごくありがたいです! (2019年2月27日 23時) (レス) id: 62ba10663f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はむ | 作成日時:2019年2月16日 21時

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