ひみつな恋 ⑥ (ページ6)

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「マジか。全然気づかなかった。」

「えー、最悪じゃーん。りょーくん、どうするー？」

ここから駅まで歩いて15分の距離。

大通りでもないからタクシーなんか通ってないし、コンビニも駅とは逆方向にしかない。

「うちまで5分で着くからこっから走る？傘貸すよ。」

「ふふっ、もう走っちゃおうかぁ？」

「じゃあ、行くよ？」

涼くんは被っていたキャップを私の頭に被らせると、めちゃくちゃ笑顔で叫び出した。

「Aちゃん、ダッシューー！！」

「きゃーっ！」

「急げーっ！」

飲んでるしヒールのサンダルを履いてる私に涼くんは手を差し出してくれて、雨の中2人で猛ダッシュ。

涼くんが住むアパートに着くまで、私たちはケラケラと笑いながらびしょ濡れで走っていた。

「もー、なにこれー！」

「ふははっ。俺、パンツまで冷てぇー！ちょっと待ってね、タオル持ってくるから。」

玄関に入って待っているとバスタオルを持ってきてくれて、頭に上にポフっと乗せられた。

「はい、これ使って。」

「ありがとう。」

髪の毛を拭いていると、微かに涼くんの声がして顔を見上げた。

「ん……？」

涼くんは一度部屋に入ってからすぐに戻ってくると、手にはTシャツと薄手のパーカーが握られていた。

「Aちゃん。ちょっと大きいけど、これに着がえて帰りな？」

「え……うん、ありがとう。」

「俺、部屋行ってるから、着替え終わったら呼んでね。」

涼くんが部屋へ入って1人になり、荷物を置いてトップスを脱ごうとした時、黒い下着が透けてることに気がづいた。

「あっ……」

やだ、恥ずかしい。

それで涼くんは服を貸してくれたんだ……。

このまま駅に走って帰らなくてよかったと、心底思った。

「涼くん……」

「あ、着替えられた？」

「あの、ありがとう。……助かりました。」

「うん。駅まで送るよ。」

涼くんは脱いだ洋服を入れる袋を持ってきてくれて、キャップを返すと今度は傘を借してくれて、そのまま駅まで送ってもらった。

乗った電車は空いていたけれど、スカートが濡れている私は電車の中でずっと立っていた。