ひみつな恋 ⑥ (ページ29)

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「もしもーし。」

「Aちゃん？宏だよ。今って電話、大丈夫だった？」

「うん。もうお風呂入ってベッドにいるよ。」

「あ、俺もだよー。」

ベッドで寝転がりながら宏くんたちのアルバムを聴いていたら本人から電話が掛かってきて、思わずクスりとしてしまった。

「Aちゃん。昨日は初めてのバイト、どうだった？」

「あのね、おうちに入るまで凄く緊張してたんだけどそのコのママが凄く優しい人だったから、ほっとしたぁ。」

「ふふっ、そっか。いい人でよかったね。」

「うん。でも全然うまくいかないの。とりあえずは週3日教えることになったよ。」

「週3日かぁ……」

そう言ったきり、宏くんはぶつぶつと独り言を言いだして、何か考えごとをしているみたいだった。

「宏くん？どうしたの？」

「んあ、や……うん。」

「え、どうかしたの？」

「んー。Aちゃんさぁ、週3日バイト始めて、俺と会う時間って、ありますか……？」

「えっ、どうして？もちろんあるに決まってるよ？会えないなんて私、嫌だもん。」

なんでそんなこと聞くの？

今までもコンビニでのバイトは週3日入っていたし、長い休み中は長時間入ったりもしてたのに。

「Aちゃんが大学で働きだしたら今までみたくは会えなくなるでしょ？今より帰りも遅いくなるし、朝も早いし。今しかこんな風に会えないんだなぁって思って。」

「もしかして、宏くん……寂しくなっちゃったの？」

「んははっ、そうかも。今Aちゃんとめっちゃ離れた場所にいるし。」

「んふふっ。そっかぁ。」

嬉しさと可愛さで、少しにやけてしまっていたら。

「だから寂しいよ……。」

って、急に低く掠れた声で囁かれて、胸がきゅんとして宏くんに会いたくなってしまった。

「あのね、宏くん。帰ってきたら話したいことがいっぱいあるの。」

「え、なんの話？」

「これからのことだよ。電話じゃなくて会って話したいから。」

「わかった。俺、明日帰るから、夜は会える？」

「うん。バイト終わったら宏くんのマンション行くね。」

電話を切った後はなんだかとても寂しくて、宏くんたちの歌声を聴くのをやめた。

声を聴いてたら余計会いたくなっちゃうから。