21話 ページ21
＊
首位争いにカメラが向けられる中盤。
ロケ地に到着したことにより、いそいそと下車準備が進められる。ヒーローをするにはどうしようもない個性を持つAは、１年下の子供たちが戦う姿を純粋にすごいと思った。
それはさておき、ビニールハウスの前でAたちを出迎えてくれた農園の持ち主に挨拶をし、カメラが回り始める。
「おれ、去年から一人暮らしなんでイチゴを買うことってなかなかなくて…久しぶりなのに良いモノ食べちゃったらスーパーじゃ満足できなくなりそう」
「今年は豊作なんでね、期待以上のモノを味わってもらえると思いますよ。しっかりいちごのの舌にしとってくださいね」
掛け合いもほどほどに、和やかな雰囲気のままAたちはビニールハウスの中へと誘われる。
受付を越えた先には綺麗に整列された緑が広がっており、思わずAは「おーっ」と明るい声が出た。キャップの鍔を押し上げて瞬きするAをレンズが捉える。
「美味しいイチゴを見分けるコツは知ってはりますかね」
「コツ？赤いものを選ぶ…ですか？」
「まあ、それもありますね。ヘタの近くまで赤くなっているイチゴは完熟してますから、そういう子たちを取ってあげてください。それから、つぶつぶが赤いもんも完熟の証拠です」
「え、つぶつぶって黄色じゃないんですか？」
「完熟すると赤くなるんですよ。スーパーで見かけるんは完熟直前の子を収穫したやつなんで、仕入れ日によっては未完熟の場合もあるね。あとは先端が平らな子と、ヘタが反り返ってるもんです。ご存知かもしれませんが、イチゴは先っぽの方が糖度が高いんで」
へええと感嘆するAに、カメラの後ろで見ていたマネージャーはひとり頷く。
幼い頃から芸能界に身を置くAだが、良い意味で彼は新鮮な反応を返してくれる。音楽をやっていることから来る感性なのか、Aはテレビに染まらない逸材だった。常に自然体で素直な反応を見せてくれるのだ。
素直すぎて、ファンの前でも調子を崩さない辺りを改善して欲しいと思う時期もあったが、Aという人物はこういうスタイルなのだと世間から受け入れられたことに事務所は感謝している(本人もファンの心理を理解した上であの態度なのだから実に世渡りが上手い。成る可くしてなった職業と言うべきだろうか)。
「あま！」
食レポはもう少し頑張って欲しいが。
スタッフたちの間に微妙な空気が流れた。
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蒼月(プロフ) - ホークスがなんで腕時計つけてるのか気になりすぎてやばいです!!良ければ短編でもいいので、厳しいかもしれませんがホークスとの絡み等の続き待ってます（; ;） (2022年10月17日 22時) (
レス) @page30 id: 371a01970c (このIDを非表示/違反報告)
緑猫(プロフ) - るぽたさん» 返信が遅れてしまい、申し訳ないです;; オタクは皆同じということですかね！！(?) 止まり気味ですが気長にお待ちいただければ幸いです！ (2022年3月16日 23時) (レス) id: dd1c3e784a (このIDを非表示/違反報告)
るぽた(プロフ) - 凄く共感できるところが沢山あってニコニコしながら拝読させて頂きました……とても面白いです(*'▽'*)応援しております！！ (2022年3月6日 17時) (レス) id: 794a8648aa (このIDを非表示/違反報告)
緑猫(プロフ) - えどさん» コメントありがとうございます！更新が止まっていて申し訳ないです…気長にお待ちいただけると幸いです;; (2022年1月28日 22時) (レス) id: dd1c3e784a (このIDを非表示/違反報告)
えど(プロフ) - 更新楽しみにしてます♪。.:＊・゜♪。.:＊・゜ (2022年1月26日 9時) (レス) id: 67d2f217ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：緑猫 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?
作成日時：2021年12月3日 22時
