ヤンデレだらけの短編集２【ヘタリア】

雪の寒さも言い訳に【北欧】リクエスト ページ19

【寒い寒い話】
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手足が冷たい。

彼女は雪の中で倒れていた所を拾われたらしい。

極度の低体温症で気を失ってはいたが、
温かいベッドの上にいるということは助かったのだろう。

少し頭はぼんやりするものの特に後遺症は無さそうだ。

だが当時のことだけはどう頑張っても思い出せない。

そこの記憶だけが、すっぽり抜け落ちている

　 「……起きたか。」


　 『あ、貴方が私を助けてくれたんですか？』

白い髪に、ぼんやりとした目の青年。

独特なイントネーションで話す彼は、

　 「いんや、あんこが拾った。」


と気だるそうに言った。

　 「ノルウェー君どうかしたの…ってあっ！
　 君起きたんだ、良かったぁ………。」


　 「………アイス呼ぶか。」


　 「ですね！ターさんも呼びましょう。」

身長の高い二人と、可愛らしい三人。

その5人に、彼女は頭を下げた。

　 『助けていただきありがとうございました。
　 明日にはここから出ようと思います。』


あまり長居するのも申し訳ないと思った彼女は、
すぐにここを出ようとした。



　 「それは無理なんじゃない？」


肩に鳥を乗っけた少年が言った。

それは常識のようで、
皆がそれに同意するように視線を彼に持っていった。


　 「ここはずっと冬だから外に出られたもんじゃないよ。
　 暮らしてる僕でさえ下手したら凍死するかも。」


　 「ですね、それに倒れていたので体も弱ってますし。」


　 「………ん、違いね。」




彼女の顔が青ざめていく。

家族に、もう会えないというのだ。



　 「でも、アンタはここで住めばいいっぺ！」



前髪の立った彼が元気に言う。


　 「……外にも出なぐていい。
　 あんこは寒いの慣れてるから。」


気怠げな彼もそう言って彼女に布団をかけ直す。


　 『そう、ですか……。
　 わかりました、これからよろしくおねがいします。』



きっと、諦めるしか無いのだ。

気候の問題なら仕方ない。

そう、仕方がない事なのだ。


＿＿＿＿＿
＿＿＿＿＿＿＿＿＿

彼女が眠りについた後、フィンランドは呟いた。

　 「それにしても、上手くいきましたね。」

アイスランドもそれに続ける。


　 「こんな真夏に凍死しそうになるわけ無いのにさ。」


彼の言うとおり、外は快晴だ。

理由は簡単だ。

先程までの会話は全て嘘なのだから。

もちろん彼女が倒れていたというのも。

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