幽霊＿RED ページ22
.
残りの１ヶ月。
翔くんは約束を守ってくれた。
見た目は悪いけど料理もするようになったし、
ヤケ酒をする時間も減った。
シャツにちゃんとアイロンも掛けるようになったし、
笑うこともちゃんと増えた。
「潤、ちゃんと…死神？…の言うこと聞けよ？
ちゃんと天国に行って…毎日笑ってるといいなぁ。
俺の心配はもうしないでいいから…安心して？
…ああー…愛してるよ、潤……聞こえてる？
ずっと愛してる。……もう寝た？すぐ寝るからなぁ」
最期の夜は、翔くんずーっと喋ってた。
僕が寂しくならないように、って。
最期まで優しい僕の翔くん。
＿＿＿＿＿＿＿ありがとね、僕もずっと愛してるよ。
天国はね、笑顔で幸せそうな人が多い。
理由はそれぞれだけど笑顔の人がたくさんいる。
天国は歳も取らないし、仕事もしなくていい。
友達もできたし、それなりに楽しくやってるよ。
��潤、こっちは昨日雪が降ったぞ。
そっちの世界にも天気ってもんはあるのか？��
命日。
この日だけは、僕のお墓参りに来てくれた人の姿を
見ることができる。
毎年欠かさずに来てくれるのは、
最近白髪が増えた翔くんで。
ここ数年はそんな白髪も染め直さなくなって、
その翌年には杖をつきながら来てくれたね。
そして今年の命日には、初めて翔くんが来なかった。
その翌年も、翌々年も。
『……生きてたら…俺もおじいちゃんなのか…
翔くん、大丈夫かな。苦しんでないかな…心配だな』
「……お、おい、潤！名前、あったぞ！」
『うそっ、大野さんの待ち人？』
「んや、俺じゃなくて、
……櫻井翔………って、お前の翔くん、だろ？」
.
『翔くんっ！』
「潤っ！？潤っ！！！」
『翔くんっ、待ちくたびれちゃったよー』
「潤ーー！ごめんごめん。
つい長生きしたもんで……てか、え？
俺、おじいさんだったはずなんだけど…
……え！？…俺若え！！」
＿＿＿＿＿＿＿＿＿天国は、
人生で一番幸せだった頃の姿で生まれ変わる。
僕が見た翔くんは、やっと再会できた翔くんは、
＿＿＿見慣れた僕の知ってる翔くんだった。
fin.
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伶(プロフ) - Nerineさん» こちらの作品まで読んでいただきありがとうございます…！私もお気に入りの物語の一つなんですが、長編では書けそうになかったので短編集に入れ込んでみました(o^^o) (2021年2月10日 22時) (
レス) id: 60c0109ce5 (このIDを非表示/違反報告)
Nerine(プロフ) - 幽霊で泣いてしまいました…何か考えさせられるお話ですね。 (2021年2月10日 14時) (レス) id: 9377f82fbc (このIDを非表示/違反報告)
伶(プロフ) - ﾄﾞﾘさん» ありがとうございます(o^^o)嬉しいです！これからもよろしくお願いします★ (2020年5月30日 15時) (レス) id: dd27ca7218 (このIDを非表示/違反報告)
伶(プロフ) - ナナさん» 長編ですよね〜〜私も恋しくなってたとこでした（笑）どういうの書こうかな〜〜 (2020年5月30日 15時) (レス) id: dd27ca7218 (このIDを非表示/違反報告)
伶(プロフ) - あいさん» ありがとうございます！！続編に1票！了解しました^_^ (2020年5月30日 15時) (レス) id: dd27ca7218 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：伶
| 作成日時：2020年5月9日 12時
