sweet soul 5/S ページ39
「翔ちゃん・・・・。」
おれの名前をぽつんと呟いた相葉君の切なげな視線が、涙を流すおれを捉える。
おれから溢れた滴が、ぽたぁんと相葉君の頬に落ちれば
「泣かな・・・で・・・。」
苦しげに顔を歪めながら、小さな声で呟く。
「あ・・いば・・・・君・・・?」
おれはマジマジと相葉君の顔を見つめる。
だってホラ・・・・・
君の澄んだ瞳が・・・・・・・・・・
宝石のような深い緑色に
染まっているんだもの・・・・・・・
・
・
それは一瞬の出来事だった。
相葉君の瞳が深い緑色に輝いた瞬間、おれ達を中心に舐めるようにして撒き上がった炎が床を這っていく。
炎はおれと相葉君のいる世界を舐めつくし、彼を苦しめていたであろう配線を容赦なく焼きつくす。
深緑の瞳がゆっくりと金属の食い込んだ自身の手首を見つめれば、たちまちに緑色の炎に包まれて見る間に赤く錆びて朽ちていく。
相葉君が軽く手首を捻れば、ガシャンと渇いた音を立てて、彼を拘束していたそれは粉々に砕け散った。
穏やかな瞳がおれを捉え、台の上に体を起こした相葉君がおれの頬の涙を優しく拭う。
「大丈夫?翔ちゃん。」
呆然としているおれに響く、聞きなれたハズの声。
「翔ちゃん?」
小首を傾げておれを見つめるその人に
やっとのことでおれは声を上げた。
「これ・・・・何なの?」
振り絞るような情けない声。
恥ずかしいほど震えているおれを見て、相葉君はクスッ・・・と笑う。
「怖がらないで、翔ちゃん。」
優しく優しく・・・・・・
おれの髪を撫でる大きな手・・・・
まるで小さな子供に言い聞かせるように
相葉君の柔らかな声が降ってくる・・・。
「オレがやってるんだ・・・
この火はね、オレが操ってるの。」
瞳が一層強い光を讃えた瞬間、部屋に熱風を巻き起こして炎は勢いを増していった・・・
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作者名:あさり | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/a-ground/
作成日時:2012年3月26日 22時