五条家の落し物4【呪術廻戦】

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【みるたそさんリクエスト】 絵本


＊


部屋のクローゼットの奥に小さなダンボールが入ってた。
服の整理をしていたら、丁度見つけたそれは随分と角が凹み、ボロボロだった。


A
「なんだコレ。」


少し剥がれかけているガムテープを外し、中を確認する。
開けると中からホコリがふわふわと出てきた。
汚ったない、後で掃除機だな。

中身はぬいぐるみ等のガラクタ。
両親が死んだ時に纏めた荷物が入っていた。
昔の私にとっては大切な物だったんだろう。

ガラクタを漁っていくと、ダンボールの奥底に1冊の本があった。
背表紙がボロボロになっていて、表紙も所々汚れていて大分くたびれている。


A
「これ…、お母さんが作ってくれた絵本だ…。」


母は幼い私に物語を聞かせるのが好きで、よくオリジナルの物語を作って聞かせてくれた。
毎晩、寝る前に聞くそれが私は大好きだった。

『神様のプレゼント』

表紙には母の字で、そう描いてある。
どんな話だったけ。
高専に来てからは毎日忙しく、過去を振り返る事なんてほぼ無かった。
いや、振り返る事を恐れていた。
両親を助けられなかった後悔から、2人の死から眼を逸らし続けていた。
現に絵本を持つ手にはじっとりと汗をかいている。
読むべきか否か。

…いや、もう大丈夫だ。
私は1人じゃない、悟が傍にいてくれる。
だから、もう両親の死を受け止められるはず。


A
「……よし。」


深呼吸をして、絵本を1ページ捲った。


＊


神様のプレゼント。

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