ただ愛する仲 Ⅱ【Hikaru.I】 (ページ29)

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『なにここ…』

照「色々改造したらこうなった」

階段を駆け上がると、屋上に出た。
そこには普通に冷蔵庫もあるし、ソファーも机も完備。

照「ん、」

『ありが…これ冷えてない、もう少し冷蔵庫に…』

照「壊れてんの、慣れたら平気」

『…これ冷蔵庫の意味ある？』

照「ふは、無いな〜」

彼について、よく分かったことがある。

甘い物が好きで、特にチョコレート。
笑うと目が無くなること。

意外と…面倒見もいいこと。

康「やっほ〜〜〜〜〜！
　こないだのべっぴんさんもおるやん！！」

『べっぴん！？誰が！？』

康「お姉さんしかおらんやん！！」

照「康二うるさい」

こんな元気な子も手懐けて。
…本当に彼は一体何者なんだろうか。

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意外と楽しい時間を過ごした次の日。

辰「ってことだから…
　契約外のことだけど頼めるかな？」

深澤代表の隣には岩本照。
いつからこんなことを企んでいたのだろう。

慰霊碑再建案

辰「こいつがAちゃんがいいって…」

照「もういい、いくぞ」

半ば強制的に連れて行かれた石碑屋。

『デザインがまだ決まって無くて、』

〈変更するのか？〉

照「逆に見栄え良く作ることに意味あんのか？」

〈君たち分かってないな〜〉

そこに居た店長さんはこう言った。

慰霊碑というものは、愛する人を失った人々が
心ゆくまで悲しめる場所でもあるのだ、と。

『確かにその通りだよね』

コンビニで買ったパピコを2人で分け合う。

照「店長の手、見たか？…石みたいだった。
　誠心誠意生きてきた人だ。説得力がある。」

『…もし、貴方が壊さなければ』

照「辞めろ」

『まだ何も言ってない』

照「“もし”なんて言うな、
　 …そんなの堂々巡りだ。」

暗いオーラを纏う彼。

『…もう少し近くに僕の方に
　君に出会ったのは絶対に偶然ではない』

照「っ、なんだ？」

物凄い悲しい顔をするから、
この前大ボリュームで歌っていた歌を歌ってあげる。

照「なんでその歌…知らないんだろ？」

『…だめなの？今は知ってる』

照「歌うな」

『ケチくさいなぁ、
　あとで知った人は歌うなって？』

照「…もう行くぞ」

彼はいつも私の一歩先を行く。
時々、心情が読み取れない。

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