ただ愛する仲 Ⅱ【Hikaru.I】 (ページ21)

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A side

大「ハスキーシガレット？
　お前の好きなアーティストじゃん」

『私の好きなアーティスト？』

あいつが知っているか、と聞いてきたグループ。
まさかアーティストだなんて。

大「入院中にずっと聞いてたし、ファンだと思ってた」

『え、私が聞いてたの？』

大「事故以外のことも覚えてないんだ、
　俺と初めて会ったのは？」

『病院で…』

大「あぁ、やっぱいいや！思い出したくもないね〜ん」

大介はバイク事故、私は崩壊事故。
そこで知り合った2人。

車椅子より死を選ぼうとも思っていた彼が
やっと現状を受け入れられるようになったこと。

1番近くで見てきた。

車椅子の大介をアニメのお店に連れて行ってあげる。
私の話よりもたくさんの嫁に夢中だ。

ただ、彼との出会いもしっかり思い出せない。

『午後から出社だから行かなくちゃ』

大「おー、ばいばーい！」

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『…これは？』

蓮「飲み会の雰囲気を壊して逃げた日の忘れ物」

『これは…私のじゃない』

彼に渡されたビニール袋。

蓮「何か…置いていった」

『だれが？』

蓮「顔が怖い、背の高い現場管理者。
　あの日Aちゃんを追って出てったんだよ」

…岩本照だ。

見た目といい、役職といい。

蓮「ほら、ヤケドの薬。
　初めて見た時から怪しいと思ってた」

『何言ってるの？』

蓮「絶対なんかあるっしょ？」

『なんにもない！』

蓮「はいはい、そういうことにしとこう」

またあの人にお礼を言わなくてはならなくなった。
あと、謝ることも。

亮「食事会でも彼はAちゃんに気遣ってたよね！
　俺も連絡先は知らないなぁ…
　そこに契約書があるよ？」

顔の広い阿部さんも連絡先を知らないなんて。

絶対契約書なんて見ちゃだめだと思うけど、
阿部さんが言ったんだから…

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