ネージュに染まれseason3 (ページ5)

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触れて守らせて向井side ページ5

公園で髪をかきあげて天を仰ぐそんな姿に少しだけドキッとした

真っ白なタンクトップにシルバーのネックレスがキラキラと光ってて

近寄りながら思わず目を伏せたのはタンクトップから真っ赤な痕が少しだけ見えたから

そんなに苦しませるものはなんなんやろ

『風邪引くで』

ふっかさんが出すみたいなふわっとした優しい声を出した俺に力なく笑うAちゃんにまたドキッとする

「今帰り？」

『うん隣座ってもええ？』

「んふ、勝手に座っていいのに」

目を細めて笑うと持ってたスマホをポケットへとしまう

『もう夏休みも終わったな』

「ねー少し寂しいかも」

『ほぼ毎日ラウールと遊んでたやんな』

「若さには勝てないね」

『なあAちゃん...』

我慢をひとつしたら慣れてきて我慢がふたつに増えていく

Aちゃんはきっとそれ

『慣れっこになってんねんな』

「こーじ？」

『無理するのも我慢するのも自分を責めるのも慣れたらあかん』

「...っ」

『痛いやろこれも』

真っ赤な痕にそっと触れればAちゃんが眉を下げて俺を見つめる

「.....だったら...どうしたらいいの...ねぇ」

それは俺が聞いたどんな言葉より弱々しくて苦しくて辛かった

でもどうしようもなく守りたくなって

『Aがどうしたいかちゃう？』

ちゃん付けをやめたのは君を近くに感じて君をとてもそばに感じたから

「ねえ康二？アイスでも買って帰ろっか？」

なんてふわっと笑ったAの手を引いて自分の着ていたシャツをかければAはにっこり笑ったんだ

「康二の匂いする」

って俺はその真っ赤な痕に負けたくなかっただけなんだよ

君が思うほど俺はきっとやさしくなんてないんだよ