ネージュに染まれseason3 (ページ27)

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失わずとて目黒side ページ27

「文化祭A誘った」

『は？』

「みんな来れないって言ってたじゃん」

『いや、なら行くわ』

「めめずるくない？」

ラウールは唇を尖らせスマホを見るとふーんなんて呟きながらポケットにしまう

「しょっぴーとA今日も遅いんだってふたりとも」

スマホを見れば時間差でグループメッセージが入ってて

『絶対なんかあったな』

ここ数日なにかとふたりでいる気がしてるのは気の所為ではないしAの翔太くんを見る目は前とは少し違ってる

「知っちゃったとか」

『....え』

「知らないけどさ」

ラウールの言いたいことはすぐに理解した

だって

俺らはみんな秘密があるし俺らはみんなの秘密を知っている

「Aの知られたくないことめめしか知らないこともあるよね？」

『なんだよいきなり』

「なんか隠し事みたいじゃん？」

『え？』

「Aはめめの知られたくないこと知らないのに」

『.....それは』

「しょっぴーはみんなより早く秘密を共有したってことでしょ？
お互いに知られたくないこと隠したいことをお互いに知っただけ」

ラウールの言葉がごもっともすぎて唇を噛めばラウールは遠くを見つめながら呟いたんだ

「人に知られたくない悩みや秘密隠し事のある人だったよねあそこの募集条件Aのママの」

入居者募集の項目のひとつめは確かにそれだった

「ママとパパがいないしか俺も言ってないんだよね」

『言う必要ないっしょ？』

落ち着いた声を出したはずなのにきっと少し震えてた

「んーAには知っててほしいって思うけどな俺は」

ラウールは俺より大人で

俺は絶対Aに嫌われたくなくて離れていって欲しくないから怖いんだ

過去は変えられないってそんなの俺は痛いくらい知ってんのに

ちょっとあまりにもAを好きになりすぎて

ごめんねA

ほんとは君に偉そうに色んなこと言える奴なんかじゃないんだ俺は

それに

「分かんないけどさでもさAは俺ら全員の秘密を知った時そばにいてくれんのかな.......」

ラウールの言葉に目を伏せた

君が俺らの前からいなくなることが俺は一番怖いんだ

いや、俺の前からいなくなることが一番怖いんだ

誰かを失うのはもう嫌なんだ