ネージュに染まれseason3 (ページ21)

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寂しさを隠してページ21

人に見られたくないものを見てしまったと思うのは

きっと私が逆の立場ならそう思うからで

少し先に見える後ろ姿は見覚えがあり思わず空を見上げた

近寄らない方がいいと背を向けたのに近寄ったのは彼だったんだ

「なーにしてるの？」

『いや、うんコーヒー買おうってうん』

「反対でしょ？」

『あーうんそれもそうだわ』

ゆっくり振り返ればいつも通り笑う阿部ちゃんが立っていて少し目を泳がせた私を見るとやっぱりにっこり笑う

「さっきのね幼馴染」

聞いてもないのに口を開く阿部ちゃんに首を傾げれば阿部ちゃんは私の手をとってカフェへ向かうんだ

「誤解されるもやだからね」

『ん？』

「Aに変な誤解されるのやだもん」

『なにそれ？』

んふふと笑う阿部ちゃんは私の手をぎゅっとして小さな声で呟いた

「恋してるからさ俺は今Aにね」

ふわりと吹いた風は冬の香りがしてゆっくり目を閉じた

どきゅんとした心臓に止まるなよなんて思いながら

さっき見た光景が蘇る

少し切なそうな顔で女の人が阿部ちゃんを見ていたことや

そっと道路に置いた綺麗な花束

私は君のこともみんなのことも全然知らないって

気付いたんだ

何にも知らないって