ネージュに染まれ (ページ26)

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勘弁して下さい渡辺side ページ26

『なにしてんの髪の毛乾かせよ』

ソファーに座りながら色鉛筆を握りしめるAに俺の声は届いてないらしい

『ばーか風邪ひくよ』

隣に座り頭に手を置けば少し目を見開いて俺を見た

「あ、しょっぴー」

『なにっきもいしょっぴーって』

「ラウちゃんが言ってたから」

『友達かよラウールと』

肩にのるバスタオルでAの頭を優しく拭けばAは気持ちいいねなんて笑ってて

『ドライヤーしてやろっか？』

ただなんかそんなことが嬉しくてAを覗き込めば嬉しそうに頷いた

ドライヤーをかけてる時も翔太うまいね～とか楽しそうで

そんなAを見て抱く感情には気付かないふりをした

「ねえ翔太？これ何色がいいと思う？」

机の上に広がる紙には可愛らしい絵が書かれてて可愛らしい家の扉を指差して首を傾げた

『好きな色にしろよ』

ドライヤーを片付けながら呟けば

Aはふふふと笑うと俺の頭に手を乗せるんだ

「翔太の扉の色にする」

心臓がどきっとした

なにそれ

姿勢を戻しブルーの色鉛筆を手に取るAの横顔を見つめて

うわ

お願いだからもう首元に湿布は勘弁してな

とか思ったんだ