ネージュに染まれ (ページ20)

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ご教示ください阿部side ページ20

「ふああああ」

目の前で大きな欠伸をする彼女

初めて会った時とは打って変わってどすっぴんに大きな眼鏡をかけ

前髪をちょこんと結んでる

慣れって怖い

そんな彼女を見てなんの違和感も覚えないんだもん

『Aってオンとオフが凄いよね』

俺の言葉に首をかしげる彼女はチョコを口に入れてんふふと笑う

「阿部ちゃんなに？すっぴん酷いって言いたいの？」

『違うよ』

「女の子はこんなもんですよ」

彼女はスマホを取り出して器用に片手でメッセージを打ちながら
この服可愛いだとかこのリップ欲しいだとかにこにこ笑って俺に画面を見せてくる

外に出る時は決まって綺麗に化粧をし長い綺麗な髪の毛をゆるく巻く

お洒落な服に身を包み可愛いアクセサリーを身につけると高いヒールを履いている

なんていうか隙がない

男だらけのこの家に彼女が来てまだ日はそんなに経たないけど

なんだろうな

そんなに違和感がないのは

抱えてるものがあまりにも大きそうなくせに面倒だとは少しも思わないんだ

「あっ見てよこれラウちゃんに似合いそう」

スマホの画面にはお洒落なメンズ服が表示されていて

ここに来てからこれでもかとばかりに可愛がっているラウールは最近では彼女の着せ替え人形だ

『ラウールが俺のことAちゃんペットだと思ってるって言ってたよ』

「滅相も無いあんな天使」

にやにやしながらポチッと購入ボタンを押す彼女を見て自然と笑みがこぼれるんだ

でもさ？せっかくなんだからさ

彼女のスマホを取り上げて机に伏せてみれば首をかしげて俺を見るんだ

『ラウールばっかりだったからさ』

そんな俺の言葉にも彼女はふふふと笑うんだ

「ねえ阿部ちゃん？お腹空いたから一緒にホットケーキ作らない？」

どうしよう

出会って間もないくせに

もっと君を知りたいなんて思うんだ