◇第二百四十四章◇ ページ2
夜になり、雨はほとんど止んだ。
外には雨の日独特の匂いがし、ジメッとした空気に覆われる。
銀時「あーあ、だから嫌なんだ雨っていうのはよ。雨が好きなのはガキどもくらいだっつーの」
聞かれてもいないことをブツクサ文句言いながら、テレビを見ている。
この小雨の中なら、多少濡れても風邪なんてひかないだろう。
木刀を片手に、万事屋を後にしようとした。が、何故か彼に止められてしまった。
銀時「待て待て、仮にも女がこんな夜出歩くのはまずいだろー。しかもここは歌舞伎町だよ?危険過ぎるって」
何が危険なのか、私には分からなかった。
そこら辺に蔓延っている人間など、この木刀さえあれば簡単に仕留められるのに。
貴方「平気……」
頼むから、これ以上私に関わらないで欲しかった。
彼まで私の事情に巻き込むわけには行かない。だから、すぐにでも此処から出て行きたかった。
なのに彼は、そんな私の心の内などどうでも良いと言うように、私のことを引き止める。
銀時「皆が皆銀さんみたいに優しいわけじゃないのよ?外の世界には狼が沢山服着て歩いてんだから」
貴方「……」
少し間を空け、私は何故だかその言葉に笑わずにはいられなかった。
貴方「ふふ……自分でさん付けって……」
銀時「え、そこ?」
ツッコミどころは他にもあったよなーと、一人困った顔をする彼を横に、私は自分の反応に心底驚いた。
最後に笑ったのはいつだったか。心が動かされたのはいつぶりだったか。
彼は本当に不思議。私の心を溶かしてくれる。安らぎを与えてくれる。
銀時「アンタ、笑えんだな」
何故か安心したような笑みを浮かべる目の前の彼。
貴方「アンタじゃない……」
銀時「あー、ハイハイ。Aちゃんね、Aちゃん」
“ちゃん”付けが気に入らなかった私は、分かり辛くも怪訝な顔をしてみせた。
銀時「……Aの方が良いんだな」
たったそれだけの反応で、私の思っていることを理解してくれた。
ただそれだけの事なのに、何故だか私の心は彼に惹かれていった。
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アザラシィー - 更新待ってます。。(;∀;) (2月5日 13時) (レス) @page10 id: 1633d1d6d2 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - 更新待ってます。 (11月29日 1時) (レス) @page10 id: 76125fe83b (このIDを非表示/違反報告)
maiko4444(プロフ) - 初めまして!!シリーズ面白くて一気に読んでしまいました…続きを楽しみに待ってます(*´ω`*)(占ツク初心者なので不備がありましたらご容赦ください) (7月8日 12時) (レス) @page10 id: fc040ed077 (このIDを非表示/違反報告)
レナ(プロフ) - おかえりなさい♪続き楽しみにしてました。 (5月26日 0時) (レス) id: 03c126c95f (このIDを非表示/違反報告)
ライキ - 初めまして!夢主ちゃんの両親を○したの誰だよ‼‼早く○ねよ‼‼とか思ってたんですが、○したのが白夜叉なら話は別だぁぁぁ‼‼銀時が白夜叉だと知った夢主ちゃんはどうなるのでしょうか…更新楽しみに待ってます‼ (2022年11月6日 10時) (レス) @page4 id: c3cdfe919e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:LAZU(らず) | 作成日時:2021年9月17日 1時