何度だって奪われる/uszw ページ14
そんなんでいいなら別に良かったかもと歩きだそうとした瞬間、ガタンと音がするのと同時に視界が暗くなった。
空になった紙パックが虚しく落ちる音が二人きりの教室に響いた。
自然と目を瞑ると、左側から差し込む夕陽に照らされてか、上昇した体温のせいか、頬が熱い。
唇に感じた熱が離れると同時に目を開けると、優し気な牛沢の眼差しに何も文句を言うことが出来なくなってしまった。
牛沢はわたしの目を覗き込むと、また満足そうな顔で「奪っちゃった〜」と笑っていた。
私は両手で胸に抱え込むようにして持っていた日誌をそのまま、目を覗きこまれたおかげで背伸びしなくても届く牛沢の唇に目掛けて自分の唇を押し付ける。
目を丸くした牛沢に満足そうな顔をして「奪っちゃった〜」とピースマークを間抜けな顔に押し付けて教室を走って後にした。
牛沢は「ちょ…！待て！待てって！」と言いながら追いかけてきた。
教室の扉に足を引っ掛けたのか、すごい音がして、声からも焦りが感じられて、ふふっと笑みが溢れた。
わたしは走りながら後ろを向いて「ば〜か！」と大きな声で叫んだ。
昇降口で待ってた牛沢の元へ戻るとヤンキー座りの牛沢と目が合った。
「Aがモタモタするから暗くなってたじゃねーかか」
立ち上がった牛沢は持ってきてくれたであろう私の鞄を手渡してくれた。
「モタモタさせたのは牛沢でしょ」悪態をつくと、やけに真剣な顔をした牛沢に腕を掴まれる。
「もう、ご褒美もないからね」と振り払おうとしたけど思ったより強めに掴まれていたせいで無駄な動きになった。
「…奪い過ぎの代償払えよ」
一回しか奪ってないのに変な言い掛かりだなあ、と思って怪訝な顔をしたけれど、太陽と交代して出てきてくれた月明かりが照らしてくれたおかげで牛沢の顔が真っ赤になっていることに気付いた。
んー、と少し考えたけどわからなくて、冗談半分で「あ、もしかして心も改めて奪っちゃったってこと？」とおちゃらけて聞いてみた。
牛沢ははぁーと深い溜息を吐いたと思ったらそのまま引き寄せて油断してるわたしの唇を奪った。
「バカはお前」
「……違った？」
何となく返ってくる答えがわかってにやける顔が止まらない。
「正解」
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も〜も〜よ〜ぐる
違う話にも出てきます。
ちなみに作者の通っていた母校で売ってました。
正式名称も「も〜も〜よ〜ぐる」でした。
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luco(プロフ) - SNOWさん» SNOW様コメントと感想ありがとうございます！どきどき楽しんで頂けていたら嬉しいです。そして脱字のご指摘ありがとうございます！日々確認チェックしてるのですが何かと誤字や脱字が多くお恥ずかしい限りです…！ (2018年9月4日 19時) (
レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
SNOW - とてもどきどきしました！ ありがとうございます。ほんの些細なことですが、P25 牛沢さんの１２行目が見なかっ事になってます！指摘コメント失礼しました。 (2018年9月4日 16時) (レス) id: 3badbdf8e1 (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - 零亞さん» 零亞様、感動するお褒めの言葉の数々ありがとうございます！わたしも3人とgtmnさんが大好きなので走る筆が止まらないのです…！これからも自分のペースにはなりますが、更新していくので変わらずご愛顧頂けると嬉しいです！ (2018年9月2日 1時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
零亞(プロフ) - lucoさん» 返信ありがとうございます！私、kyさん、rtさん、uszwさんが大好きで、いつもlukoさんの神文才にドキドキしながら読ませて頂いてます！これからも応援してます！ (2018年9月1日 22時) (レス) id: f09712beba (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - 零亞さん» 零亞様コメントありがとうございます！そうです！大正解です＾＾気付けて頂けて嬉しいです！も〜も〜よ〜ぐるって名前のセンスが好きなのでまた何かのタイミングで出すかもです！ (2018年9月1日 19時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：luco
| 作成日時：2018年8月11日 15時
